ヒト脳進化の特異性を解明するためには、ヒトと非ヒト霊長類の脳神経発生を比較解析することが不可欠である。しかし、ヒトやチンパンジーの胚や胎児を対象に研究を実施することは現実的ではない。本研究では、チンパンジーとニホンザルのiPS細胞を作製し、ヒトを加えた霊長類3種のiPS細胞を使用することで、同一の方法による神経発生の分化誘導と培養下での比較解析を実現した。また、これまでの解析結果から、僅か1週間という短期間の分化誘導培養であっても、神経発生のタイミングに種間差が認められることが判明した。神経発生のヒト特異性を解明することで、ヒトの本質とその破綻がもたらす疾患の理解につながると考えられる。
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