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2019 年度 実施状況報告書

アカゲザル種群の進化過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K06865
研究機関京都大学

研究代表者

濱田 穣  京都大学, 霊長類研究所, 教授 (40172978)

研究分担者 伊藤 毅  京都大学, 霊長類研究所, 助教 (20711485)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードMacaca mulatta / 種群 / 進化 / ゲノム解析 / 生態学的ニッチモデリング
研究実績の概要

アカゲザルの分布は広大であり、地理的変異性が著しいと推測される。アカゲザルは中国とインドを中心とする東と西の2グループに大別されるが、これらの中間地域の集団は系統的な位置づけされていない。今年度、インドシナ半島地域のタイ東北地方で調査を行い、またミャンマーの北地域を含むインドシナ半島各地からのアカゲザル集団の遺伝的および形態学的解析を行った。
ミャンマー中部とタイ東北地方のアカゲザル集団は、身体形態的には、その生息地が熱帯サバンナ気候帯にあることと関連して、地上性が強い、一方、西グループは樹上性の強いことを見いだした。ミトコンドリアDNA塩基配列解析から、東・西グループの分布域の間にある、インドシナ半島とその周辺域に分布するアカゲザル集団の系統発生学的位置および、集団間の分散・移住のルートもしくは隔離のメカニズムに関して調査と分析を試みた。タイ東北・北地方のアカゲザルは、東グループの西サブグループ、もしくは西グループの第2サブグループ(India-2/Myanmar)に近いことを見いだした。ミャンマーに分布するアカゲザルは、これまでに見いだされているIndia-2/Myanmarサブグループに加えて、北部(北緯24度以北、温帯湿潤気候帯)地域からの集団はIndia-1サブグループに属することを見いだした。このようなグループの地理的分布から、気候や地理による隔離が示唆され、ャンマーから西への分散ルートは、海岸部(India-2/Myanmarサブグループ)と、北部チンドウィン河上流とインド東北地方ローヒット河上流の分水域(Inida-1サブグループ)にあると示唆される。これはゲノム解析から、地域集団間に共通性の高いことに合致する。氷期における分布可能地域解析から、多様性をもたらすグループ間の隔離について検討している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

インドシナ半島地域、特にミャンマー北部地域、およびインド東北地域でのアカゲザル調査・分析、おおび北インド・ネパールでの調査・分析を目論んでいるところである。これらの目標に関して、概ね順調に進展している。ミャンマーの雲南省との接続域となる東北地域については、政治状況から調査が困難であり、間接的な調査を採らざるを得ない。また、インド東北地方については、ブラマプートラ河南岸域での調査はこれまでに行っている。ただし北岸域での調査を計画していたが、コロナ禍のため断念せざるを得なかった。インド北部・ネパールでの調査は、共同研究体制を構築した。ゲノム解析に基づいてアカゲザルの姉妹種との系統地理学的検討を行い、また、分散・レフュジア等の集団構造に関する解析も行い、その解析の有効性を確認している。

今後の研究の推進方策

インドシナ半島地域(特にミャンマー北部、タイ北部)、インド東北地方(ブラマプートラ河の北岸・南岸地域、およびアルナチャルプラデシュ東部)、および北インド・ネパールでの分布、形態に関する調査、およびゲノム解析のための試料収集を行う。ゲノム解析による系統地理学研究を進める。およびアカゲザルの各地域グループの地理的分布と生息地条件の調査を行ない、アカゲザルの各グループの分布に関する生態学的ニッチモデリング推定を試みる。

次年度使用額が生じた理由

2020年2月に開催されたアジア霊長類シンポジウム(於インド、アッサム州、Guwahati市)に併せて インド東北地方で現地調査を行う計画であったが、コロナ禍のため困難となったことが理由である。それについては令和二年度にインド東北地域での現地調査に用いようと計画している。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019 その他

すべて 国際共同研究 (6件) 学会発表 (3件)

  • [国際共同研究] 大理大学(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      大理大学
  • [国際共同研究] フエ大学(ベトナム)

    • 国名
      ベトナム
    • 外国機関名
      フエ大学
  • [国際共同研究] チュラロンコーン大学(タイ)

    • 国名
      タイ
    • 外国機関名
      チュラロンコーン大学
  • [国際共同研究] ラオスナショナル大学(ラオス)

    • 国名
      ラオス
    • 外国機関名
      ラオスナショナル大学
  • [国際共同研究] ヤンゴン大学(ミャンマー)

    • 国名
      ミャンマー
    • 外国機関名
      ヤンゴン大学
  • [国際共同研究]

    • 他の国数
      2
  • [学会発表] Piak Nam Yai Island: A natural laboratory for macaque stone tool use research2020

    • 著者名/発表者名
      Malaivijitnond S., Gumert M. D., Srikulnath K., Yamazaki Y., Luncz L., Tan A., Hamada Y., Iriki A.
    • 学会等名
      第7回アジア霊長類学シンポジウム
  • [学会発表] Phylogeography and conservation of rhesus macaque (Macaca mulatta) in Myanmar2020

    • 著者名/発表者名
      San A. M., Tanaka H., Hamada Y.
    • 学会等名
      第7回アジア霊長類学シンポジウム
  • [学会発表] Physical Age change in Japanese Macaque (Macaca fuscata): Growth, Development, Maturation and Aging I Dental eruption2019

    • 著者名/発表者名
      Hamada Y., Watanabe T., Iwamoto M.
    • 学会等名
      第73回日本人類学会大会

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公開日: 2021-01-27  

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