アカゲザル種群の進化に関して、次のようなことが明らかにされた。アカゲザル種群は、アカゲザル(M. mulatta)、タイワンザル(M. cyclopis)およびニホンザル(M. fuscata)で構成され、アカゲザルには10ほどの亜種がある。カニクイザル種群が姉妹種群である。南アジアから東アジアに広く分布し、アカゲザル種群の進化において交雑、特にオスに偏った移住が強く影響していることが解明された。更新世の気候変動に伴う、地理的隔離と独自化、および分散・遺伝子流動によるAdmixtureのフェーズがあり、それぞれの種の特徴は両方の要素が混在して形成されている。 アカゲザル種群内では、proto-mulatta(進化過程にある中間祖先集団)がfascicularis種群から分岐し、大陸で中緯度域に広く分散した。そこからproto-fuscataとproto-cyclopisが分岐し、さらに大陸集団は大きく東西二つに、さらに地域別に亜種に分岐した。その後、proto-東mulattaからproto-cyclopisとproto-fuscataへ、別の機会および別の地域集団が遺伝子移入し、M. cyclopisとM. fuscataが起源した。大陸集団では、インドシナ半島の地域集団は、東西からの遺伝子流動があるとともに、カニクイザル基亜種 (M. fascicularis fascicularis)から遺伝子流動があり、独特の亜種を構成する。 アカゲザザル種群の進化において、カニクイザル種群以外の、他種群からの交雑化・遺伝子移入の影響は、ほとんど無い。これは生息地条件(気候帯、植生や地理的条件);地上性か樹上性か;身体的形態(例、生殖器形態や性皮);および社会の型によって生殖的に隔離されているためであろう。
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