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2021 年度 実施状況報告書

壮年期を終えた雄のチンパンジーにおける適応戦略

研究課題

研究課題/領域番号 19K06867
研究機関鎌倉女子大学

研究代表者

保坂 和彦  鎌倉女子大学, 児童学部, 教授 (10360215)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードチンパンジー / 壮年期 / 老年期 / オトナ雄 / 連合形成 / 狩猟 / 肉分配 / アカコロブス
研究実績の概要

本研究の目的は、マハレM集団の成熟雄チンパンジー約10頭を対象に個体追跡による行動観察を行い、壮年期を過ぎて老年期に移行していく雄が加齢に伴う身体的・社会的衰退にどのように適応しているかを縦断的かつ横断的に探ることである。
特に、初(2019)年度に実施した野外調査時に、アルファ(=第1位)雄であったプリムスと元ベータ(=第2位)雄のオリオンは、同じ1991年に出生した壮年期雄であったため、この2頭の雄の加齢に伴う身体的ならびに社会的な老化を観察することを主軸に調査する予定であった。タイミングよく、2019年末にプリムスが優劣闘争に敗れ、新しくて若いアルファ雄が誕生したため、良好なデータ収集が期待された。
然るに、COVID-19パンデミックの影響により、2020年3月から2022年3月まで2年間にわたり現地調査を遂行する機会が得られなかった。
国内における3年目の研究活動としては、過去の野外調査資料に含まれるオトナ雄のさまざまな行動データ(敵対的行動、連合形成、近接維持、毛づくろい、狩猟、肉分配、音声等)の整理を進め、成熟雄の各年齢段階による違いを見出すための分析をおこなうためのデータベース作成に着手した。
本研究のテーマと深く関連する狩猟・肉食行動については、マハレのチンパンジーが主要な狩猟対象であるアカコロブスに対する狩猟戦略をどのように変化させてきたかを分析し、共同研究者と連名の原著論文として投稿した。すでに査読者からのコメントに対応して修正した改稿論文を再投稿した段階であり、2022年中には出版される見込みである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

申請時の計画では、1年目・3年目の8月上旬~9月中旬に1か月半の野外調査、2年目・4年目の12月下旬~1月上旬に短期野外調査のための海外渡航を入れる予定であったが、2~3年目に海外渡航が延期となり、コアとなる新規データの入手が著しく遅れてしまっている。

今後の研究の推進方策

当初計画では、4年間の研究期間における雄間関係の変容を縦断的に研究する予定であったが、COVID-19パンデミックによる野外調査の中断という事態に遭遇したため、課題遂行に必要なデータが不足しており、2023年度に1年間の期間延長をするほかない状況である。本来最終年度であった2022年度は、タンザニア政府および調査地であるマハレ山塊国立公園当局との連絡を継続し、現地調査を再開するための調査許可取得に努める意向である。現地国及び所属機関の許可が得られ次第、2022年度の終盤に2週間程度のタンザニア渡航を実現して、予備調査を実施し、来年8月上旬~9月中旬の本調査の再開につなげる。すでに2019年度調査においてオトナ雄全頭に関する良好な行動データが入手できているため、4年後の状況である2023年度のオトナ雄の行動データと比較して、最終成果をとりまとめたい。

次年度使用額が生じた理由

現地調査を実施しなかったため、調査許可取得及び海外旅費に必要な経費を次年度以降に回すこととなった。今年度は、タンザニア政府機関(TAWIRI, COSTECH)と連絡を交わして、調査許可証を取得する計画である。調査許可証の有効期限は1年間であるため、今年度終盤の予備調査および次年度に予定する本調査までカバーできる。
研究資料のうち過年度に収集した映像・音声データ(過去に収集した膨大な8ミリ、デジタルビデオカメラによる録画データを含む)の整理・解析も進める必要があり、必要な機器、記憶メディア等の購入費用にも使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] コロナ禍1年目におけるマハレ山塊国立公園の研究と保全の状況2021

    • 著者名/発表者名
      保坂和彦
    • 雑誌名

      霊長類研究

      巻: 37 ページ: 91-94

    • DOI

      10.2354/psj.37.014

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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