研究課題
本研究は日本の中近世人骨のライフヒストリーの研究を進めた。形態学的な手法を中心に古人骨の生老病死に迫るのが本研究の目的である。研究業績は、日本における生物考古学の課題を記した総説論文の執筆、生物考古学から見た感染症の研究の総説論文の執筆、人類学のアウトリーチプログラムに関する研究、鎌倉市能蔵寺遺跡の研究、大阪市梅田墓の生物考古学的研究の予備調査を中心として進めた。また、和歌山県磯間遺跡から出土した古墳時代人骨の古病理学的研究を行い、日本で最古の楔状欠損や骨ぺージェット病疑いの症例を発見した成果が挙げられる。生物考古学の先進的知見から総説論文やアウトリーチプログラムの研究まで幅広く行い、日本における生物考古学や古病理学の普及や発展に努めた実績は顕著である。同時に、日本古病理学研究会のAsian Journal of Paleopathologyの編集長として活動し、アジア全体の古病理学に関する先進的知見の雑誌出版を進めた。中近世人骨のライフヒストリーの研究を進めるだけではなく、多様な時代の疾病構造を見つめなおし、ひいてはアジア全体の生物考古学や古病理学の発展に貢献するような知見や活動にまで広がりを持たせた点では、本研究プロジェクトは予想以上の成果が得られたものと考えられる。本研究プロジェクトは最終年度に総説論文の執筆や日本の生物考古学の現状に関する批判的な論考に至ったのは、本研究プロジェクトを通した挑戦的な試みである。
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Frontiers in Earth Science,
巻: 11 ページ: 1137696
10.3389/feart.2023.1137696
季刊考古学
巻: 別冊44 ページ: 51-57
医学のあゆみ
巻: 286 ページ: 255-258