研究課題/領域番号 |
19K06873
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
横山 久代 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 准教授 (10647829)
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研究分担者 |
小越 菜保子 大阪医科大学, 医学部, 助教 (60509115)
中島 世市郎 徳島大学, 病院, 助教 (10720691)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 咀嚼能力 / オーラルフレイル / フレイル / 転倒予防 / 転倒リスク評価 / 介護予防 |
研究実績の概要 |
本研究は、咀嚼能力と高齢者の転倒リスクとの関連性を明らかにし、咀嚼能力を指標とした簡便な転倒リスク評価システムを開発すること、さらに、咀嚼能力の改善が転倒リスクや運動器機能向上プログラムの効果に及ぼす影響について明らかにすることを目的として実施している。 上記の研究目的において、まず、高齢者の転倒既往と咀嚼能力、食習慣ならびに自覚的な転倒危険因子との関連について横断的に調査した。調査対象は大阪市が展開する介護予防事業に新規に参加する自立高齢者(65歳以上)で、2019年度はこのうち20名に対して調査を行った。限られた対象における所感であるが、8020運動の達成率が近年大きく向上していることが報告されているとおり、歯の残存状態は全体に良好であった。一方、咀嚼能力を判定するためのグミを、所定回数咀嚼後にほとんど噛み切れていないケースも散見され、咀嚼能力の決定には咬筋をはじめとする咀嚼筋の機能、舌運動などの残存歯数以外の要因の寄与が大きいことが示唆された。また、過去1年間に転倒イベントを有する対象の割合は6%であった。ファンクショナルリーチテストで転倒リスクのカットオフ値を下回った(転倒ハイリスクの)対象の割合は22%であったのに対し、タイムドアップアンドゴーテストで転倒リスクのカットオフ値を上回った(転倒ハイリスクの)対象はいなかった。このことから、既存の運動機能テストを用いた転倒リスク評価方法は、種類によって感度・特異度に大きなばらつきがあることが示唆され、本研究仮説の通り、咀嚼能力を加味することにより、より有用な転倒リスク評価が可能となるかどうか検討する必要がある。今後、咀嚼能力と転倒リスクとの関連について解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
行政機関との個人情報の共有方法の確立に時間を要し、倫理委員会での研究計画の承認が当初予定より遅れたことで調査の開始が2019年12月となった。これに加え、新型コロナウイルスの感染拡大ならびに活動自粛要請に伴い、体操グループの新規立ち上がりや活動継続が見合わせられたことより、フィールドでの調査が進捗しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症が終息し、体操グループの新規立ち上がりならびに既存グループの活動が再開され次第、昨年度予定分を含め調査を実施する予定であるが、終息の見通しが立たない場合は、対象を老人福祉センター利用者などへ拡大し、十分な感染対策を実施したうえで咀嚼能力、運動機能の調査を行い、転倒リスクとの関連について横断的な検証を行う計画に切り替えることを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
行政機関との個人情報の共有方法の確立に時間を要し、倫理委員会での研究計画の承認が当初予定より遅れたことで調査の開始が2019年12月となったことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大ならびに活動自粛要請に伴い、体操グループの新規立ち上がりや活動継続が見合わせられたことより、フィールドでの調査が進捗しなかったため、次年度使用額が発生した。今年度は昨年度未実施分の調査を含めて計画されている調査を行う予定である。
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