研究課題/領域番号 |
19K06873
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
横山 久代 大阪市立大学, 都市健康・スポーツ研究センター, 准教授 (10647829)
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研究分担者 |
小越 菜保子 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (60509115)
中島 世市郎 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (10720691)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 咀嚼能力 / フレイル / 転倒 / 運動器機能 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
高齢者では歯の欠損や舌の運動機能低下により一般に咀嚼能力が低下する。これまでに、咀嚼能力が運動習慣やサルコペニアと関連することが報告されているが、咀嚼能力と転倒リスクとの関連は不明である。そこで、高齢者の咀嚼能力と運動機能や転倒リスクとの関連について検討した。地域の運動器機能向上プログラムに新たに参加する健常な高齢者136名(男性33名、女性103名、79.0 ± 5.2(SD)歳)を対象に、専用のグミゼリーを用いて咀嚼能力を評価した。併せて握力、膝伸展筋力、開眼片脚立位時間(SLS)、ファンクショナルリーチテスト(FRT)、Timed Up and Go(TUG)、栄養摂取状況を評価し、過去1年間における転倒既往、転倒に対する不安感の有無を調査した。全対象者において、咀嚼能力は年齢(ρ = -0.265, P = 0.003)、TUGの所要時間(ρ = -0.189, P = 0.035)と弱い負の相関を、握力(ρ = 0.226, P = 0.011)、膝伸展筋力(ρ = 0.232, P = 0.009)、SLS(ρ = 0.230, P = 0.009)と弱い正の相関を示した。転倒既往の有無別2群間において、咀嚼能力、運動機能を含むいずれの項目においても差を認めなかった。FRTに基づく転倒リスクあり群(FRT 25cm未満)では、なし群に比べて、咀嚼能力が小さかった(3.8 ± 2.5 vs. 4.7 ± 3.0, P = 0.048)が、転倒リスクの有無を目的変数としたロジスティック回帰分析においては握力のみが有意な説明変数となった。今回の結果から、咀嚼能力は筋力などの運動機能ならびに転倒リスクと関連することが明らかとなった。一方で、咀嚼能力は転倒イベントや転倒リスクを予測する独立した因子とはならなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、研究対象者となる運動器機能向上プログラムの新規グループの立上がりが例年に比べ大きく低下し、プログラムの度重なる中断も見られたことから、想定していた例数が集まらず、フォローアップの調査も十分に進まなかった。
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今後の研究の推進方策 |
大阪市福祉局の協力の下、ひきつづき新規グループが立上がり次第調査を行い、既に活動中のグループについては、3ヶ月後、1年後のフォローアップ調査を行う。例数が十分でない場合は栄養調査の結果等もふまえ、横断的な検討をさらに掘り下げる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、研究対象者となる運動器機能向上プログラムの新規グループの立上がりが例年に比べ大きく低下し、プログラムの度重なる中断も見られたことから、想定していた例数が集まらず、フォローアップの調査も十分に進まなかった。大阪市福祉局の協力の下、ひきつづき新規グループが立上がり次第調査を行い、既に活動中のグループについては、3ヶ月後、1年後のフォローアップ調査を行う。例数が十分でない場合は栄養調査の結果等もふまえ、横断的な検討をさらに進める予定である。また、成果発表のための学会参加費・旅費を次年度予算に計上する。
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