研究課題/領域番号 |
19K06875
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
跡見 友章 杏林大学, 保健学部, 教授 (80611285)
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研究分担者 |
菊池 吉晃 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 客員教授 (50134739)
久原 重英 杏林大学, 保健学部, 教授 (60781234)
小林 邦典 杏林大学, 保健学部, 特任教授 (90723867)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | fMRI / 身体バランス / 運動イメージ |
研究実績の概要 |
本研究は、身体バランスの不安定性に関する自己認知の神経機構を検討するため、実際のバランス課題実施時の制御能力と、fMRIによる運動イメージおよび動画観察時の脳活動との関係性を検討することを目的としている。令和元年度では、fMRIによる実験と加速度センサ等を用いたバランス能力計測に関する実験を予備的に実施した。 fMRI実験では、健常な右利き若年成人男性10名を対象とした。実験は,2条件のバランス課題(安定,不安定)の刺激動画に対して,他者が行っているのを観る条件および自分自身が能動的に課題を実施しているようにイメージしながら観る条件の2条件の観点を設定し,刺激提示時の脳活動をfMRIにより計測した。結果より、動作観察に運動イメージを付加した条件設定で、先行研究と同様に運動系、体性感覚系、平衡感覚系、情動系、自律神経系など、各感覚モダリティに関連する脳領域を活性化させることに予備的に成功した。 身体バランス計測実験では、対象は健常成人男性20名を対象とした。課題は左右方向への重心移動課題として,3段階の異なるテンポを用いたステップ動作とした。計測は多機能小型センサおよび光学式3次元動作解析システム、床反力計を用いた。計測部位は頭部,胸部,骨盤部,両下腿部とし,身体各部位に生じる加速度および空間変位量を算出した。結果より,異なるリズムでの左右方向への重心動揺課題においては,頭部に生じる加速度を最小化する一方,質量比の高い胸部にてテンポ応答的に動作を制御している傾向が検出され、加速度センサを用いてバランス能力を定量化することに予備的に成功した。なお、身体バランス計測実験の結果については、その成果を学会発表として報告した。 以上、令和元年度の研究実績としては当初の計画に沿って概ね順調に進捗している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和元年度における本研究の予備実験に関する進捗状況は、概ね順調に進んでいる。一方で本実験については令和2年3月に開始を予定していたが、今回のCOVID-19対応によって現状で実験スケジュールに遅れが生じている。今後の各研究機関によるCOVID-19対応の方針に準じて、本実験を開始できるように準備を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
本研究のおけるfMRI実験および身体バランス課題計測実験の本実験については、令和2年3月からの開始を予定していた。しかしながら、今回のCOVID-19対応により杏林大学井の頭キャンパスにあるMRI計測機器による実験が事実上不可能となったことから、本実験の開始時期については大幅な遅れが生じている。本実験の再開にあたっては、計測環境における感染症対策や被験者募集の要件などを再度検討し、令和2年度中における実施を検討しているが、現状では明確な時期の設定が困難な状況である。令和2年度では、本実験の再開が可能となった段階で速やかな計測、解析が可能となるように、小型加速度センサや解析用PC、解析ソフトなどの導入を進め、実験環境を整備する。また、実際の計測における感染症対策として、感染予防マニュアルを用いた実験プロトコルを準備することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19対応により、2020年3月に予定していた本実験を延期としたこと、参加予定であった学会が中止・延期になったこと、実験の実施にあたり購入を予定していたPCを含む実験機器および解析用ソフト等の購入が延期となったため、次年度使用額が生じることとなった。 次年度では、各研究機関の実験実施状況に応じて本実験を開始するため、必要物品および被験者謝金などの支出を計画する。
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