研究課題/領域番号 |
19K06878
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研究機関 | 広島都市学園大学 |
研究代表者 |
馬屋原 康高 広島都市学園大学, 健康科学部, 准教授 (60746395)
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研究分担者 |
辻 敏夫 広島大学, 工学研究科, 教授 (90179995)
曽 智 広島大学, 工学研究科, 助教 (80724351)
関川 清一 広島大学, 医系科学研究科(保), 准教授 (30363055)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 咳嗽 / 咳嗽音 / 呼吸機能 / 肺活量 / 機械学習 / Neural Networks |
研究実績の概要 |
若年健常者33名,呼吸器疾患や心疾患のない高齢者25名の咳嗽音データおよび肺活量(VC)データより,VCの予測式を検討した.また,咳嗽音は,平成27年度科学研究費助成事業若手研究(B)「咳嗽能力を音響学的に評価する新しい評価方法の確立」(課題番号16K16475)で開発したシステムを用いて測定し,咳嗽力(CPS)に変換して肺活量予測式に用いた.肺活量予測式に用いる変数は,身体組成パラメータ(性別,年齢,身長,体重,BMI),従来の予測VC(2014,日本呼吸器学会LMS法による日本人スパイロメトリー基準値)(predVC),CPSの中から主成分分析を用いて決定した.その結果,変数はpredVCとCPSとした. 新しいVC予測式を求めるための解析方法は,その予測精度を向上させる目的でArtificial Neural Networks(ANN)を用いた.ANNでは,多層パーセプトロンを採用しLeave-one-out法にて学習と検証を行っている.さらに,ANNにおけるニューロン数や層を変えた場合のシュミレーションやL1ノルム正則化付き学習などのシュミレーションを実施して予測精度の向上を検証している. また,従来の咳嗽力測定法や我々が開発した咳嗽音を用いた咳嗽力の測定方法,さらに咳嗽音を用いた呼吸諸量の予測(今後の検討として記載)について,科学雑誌Applied Sciences(Clinical Significance of Cough Peak Flow and Its Non-Contact Measurement via Cough Sounds: A Narrative Review, 2020, 10(8), 2782; https://doi.org/10.3390/app10082782)に掲載した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度の計画は,呼吸諸量の予測式を,非線形回帰分析を用いて作成することであったが,さらなる予測精度の向上を目指して,ANN法を導入してシュミレーションを実施した.算出した予測値は,その予測精度を検証するため予測と実測の呼吸諸量をそれぞれ従属および独立変数とした線形最小二乗法および相関を用いて検証を行った.さらに、Bland-Altman plotを用いて系統誤差を検証した.その結果を基に,呼吸諸量予測システムに採用するANN手法の設定を数通りに絞り込んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,①高齢者および誤嚥性肺炎患者における検証を計画している.誤嚥性肺炎の症状がない,または症状を呈する高齢者それぞれ55名(検定力0.8)を対象にデータを収集し,加齢や誤嚥性肺炎の有無が呼吸諸量と咳嗽音諸量の関係式に与える影響について検証する.加齢や疾患の因子を考慮した予測式の作成においてもANN法を用いる. ②モバイル端末用の咳嗽音を用いた呼吸機能評価アプリケーションの作成する.すでに平成27~30年度の科学研究費(課題番号:16K16475)にて咳嗽音を用いた咳嗽能力評価アプリケーションを作成している.呼吸機能評価システムは、主に曽分担研究者が担当しすでに作成している咳嗽機能評価アプリケーションと統合させて作成する. しかしながら,新型コロナウィルス感染症の影響で人を対象とした測定が2020年2月より不可能な状況である.現在取得している58例のデータで解析を進めているが,測定中止が長期化する場合は研究計画を再考する必要がある.対策としては,現存するデータを基に呼吸機能予測システムを開発し,患者データが追加できた時点で再解析を行い,予測システムを修正することで対応を検討している.本年末まで患者測定が不可能な場合は,研究機関の延長を考慮する.
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次年度使用額が生じた理由 |
呼吸諸量の予測パラメータを検討する上で体幹の筋量の関連を検討する必要性が生じた.筋量を測定するためには,体組成計が新たに必要となったため購入した.そのため,予定していたスパイロメータの台数や測定用スマートフォンの台数の見直しを検討している.
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