研究課題/領域番号 |
19K06879
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
大柿 哲朗 九州産業大学, 人間科学部, 教授 (20101470)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ネパール / 丘陵地農民 / 体重 / 血圧 / 季節変動 / 身体活動 |
研究実績の概要 |
開発途上国、特に雨季と乾季が認められる地域では、体重や健康状態などに季節差が認められる。申請者は、1998年にほぼ自給自足のネパールの丘陵地農村住民の1ヶ月毎の体重と血圧を1年間追跡し、明らかな季節変動を観察した。さらに年4回測定した血液学的・血液生化学的検査項目にも季節差が認められた。そしてこの地域における季節変動は、食餌量の不足に基づくのではなく、身体活動量とくに労働量の差異によると考えられた。その後、この村でも現金収入が得られるようになり、生活とくに労働環境も変化し、身体活動量の低下も予想される。そこでこの地域における20年後の住民の体重、血圧と動脈硬化指数などを1ヶ月毎に約20ヶ月間追跡測定し、季節変動を検討する。 調査地はネパールの丘陵地農村の6つの集落(Anaikot, Kotyang等:Word No.1, Panchikal City, Bagmati Zone)である。この地域の20歳代・30歳代・40歳代・50歳代・60歳代・70歳以上の男女各20名ずつ計240名の継続測定を目指している。2019年8月下旬に第1回目の渡航調査を実施した。雨季で予想外の大雨や道路崩壊、葬式2件の行事などで220名の測定・調査となった。この不足分とその後1ヶ月毎の体重、血圧等の測定は現地の元保健師ら3名に依頼した。第2回目の渡航調査は2020年2月末に実施し、201名の測定・調査を実施した。2019年9月~2020年2月までに1,486名について測定を実施して貰った。この1ヶ月毎のデータは記録紙に記載されていたため、電子データ化した処である。また各年代から男性対象者15名を選定し、24時間心電図の記録を行い、現在心電図を心拍数への変換を委託中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、20ヶ月間に現地の20歳以上の男女10歳区分に各20名ずつ計240名の1ヶ月毎の継続測定を目標としている。2回の渡航調査では、いずれも200名以上の測定・調査を実施したが、目標数にはわずかに及ばなかった。しかし現地のヘルスポストの元保健師ら3名の研究協力者によって、継続測定が行われ、ほぼ目標人数を確保できそうである。ただ、6ヶ月間の委託測定データは紙ベースで記載されており、同一人の継続データ、特に1ヶ月の欠損値なく実施されているかどうかはまだ確認できていない。測定者の延べ人数からみれば、順調に測定されていると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、渡航調査は2020年8月下旬に第3回目、2021年2月下旬に第4回目(最終)を実施する予定である。その間、現地協力者3名に測定を継続して貰う。20ヶ月に及ぶ1ヶ月毎のデータを整理し体重や血圧等の季節変動を明らかにし、30年前の季節変動値などと比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
第1回目の渡航調査のうち約10日間は、調査地の有力者宅に宿泊した。そのために宿泊費が計上できず、残余が生じた。本年度の2回の渡航現地調査(各10日間)では、大雨や道路崩壊、葬式行事2件など不測の事態に遭遇し、目標としている240名の測定・調査にわずかに及んでいない。したがって、次年度は渡航日数を1,2日延長した日程で調査研究を継続する。また年度末であったため、2月の渡航時に記録した24時間心電図の委託解析料が間に合わず、次年度に支払うことになる。
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