研究課題/領域番号 |
19K06884
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
矢和多 智 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (90455246)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | イメージング / 内視鏡 / 報酬学習 |
研究実績の概要 |
認知機能にかかわる脳の動作原理を解明するためには、実際に認知課題中の動物から神経情報を読み取る必要がある。本課題では、申請者らが独自に開発した内視顕微鏡を用い可塑性と神経情報を同時に計測することで、線条体における行動選択にかかわる情報処理機構の解明を行っている。 ドーパミン受容体D1およびD2陽性細胞選択的に遺伝子発現を誘導可能なマウス(Drd1-creおよびA2a-cre)を用い、課題遂行中の神経活動と可塑性シグナル動態の計測を行った。神経可塑性と関連の深いERK活性を計測可能なERK FRETプロ―ブをCre依存的に発現する遺伝子組換えマウスに対し、Cre依存的に赤色蛍光カルシウムセンサーであるRCあMPを発現可能なAAVのインジェクションを行った。認知課題としてタッチパネル式オペラント学習装置を用い、行動(正解パネルへのタッチ)と報酬を関連付ける学習を行った。また、学習後に正解のパネルを逆にする逆転学習にを行うことにより、環境の変化に対応するために脳内でどのような神経情報の更新が行われているのかを解析することができる。 当該年度において、ERKの活性変化が、どのようなシグナルにより引き起こされているのかを解析するために、6-OHDA によるドーパミン細胞の脱落や薬理学的な介入による影響を観察した。その結果、ERKの活動変化のうち、一部の成分がドーパミンにより制御されている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、線条体中型有棘細胞で見られるERKの活性変化に、ドーパミンがどのように関与しているのか解析を進めている。一方、計画していた光遺伝学的操作ではなく、薬理学的介入を行うことで、より直接的にドーパミンによる制御様式の解析を進めることができた。また、、令和3年度に計画していた解析を前倒しして進めている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、学習中動物からERK活性と神経活動のイメージングを進める。またこれまでに得られたERK活性の変化について、詳細な解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの流行に伴い、出張の停止や学会のオンライン開催のため、旅費の支出が減少した。また、順調な研究の進捗に伴い、令和3年度においてデータ解析を集中的に進めることを計画している。
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