研究課題
2020年度はCOVID19の影響を受け、その飼育環境の制限により、2019年度の感染事故により殺処分した本研究にて必要となる遺伝子改変マウスを起こすことが出来なかった。そこで2020年度は本研究のコアとなるナノポアシークエンス技術による発現解析のセットアップを行った。単一細胞に含まれるtotal RNA量は約0.01 ngとされ,その中でmRNAが占める割合は1~2%であり、0.1~2pgしか存在しない(実際PolyA精製するともっと多い)。培養細胞を用いた条件検討の結果、ナノポアシークエンスのためのmRNA量は一回500ng程度必要であることが分かり、約~500万個の細胞が必要な計算となる。培養細胞を刺激群、未刺激群に分け、それぞれからpolyA RNAを精製後、モータータンパクを付加し、ナノポアシークエンスに供した。得られたデータをMinimap2 (long read用にmodify)でマッピング後、FeatureCountsでリードカウントしReads per Gene per 10k readsで補正、edgeRで発現変動遺伝子を抽出した(FDR<0.01のものを有意とした)。未処理群で27万遺伝子座、処理群で58万遺伝子座にマッピングされ、現在までの網羅的遺伝子発現解析では報告されていない複数の遺伝子が見いだされた。ナノポアシークエンスによる遺伝子発現解析はより生体内を反映し、かつ今までに知られていなかったものを見出すのに有効であると考えられた。
2: おおむね順調に進展している
本研究のコアとなるナノポアシークエンスによる遺伝子発現解析パイプラインのセットアップが完了したため。
遺伝子改変マウスhORX-GFPマウスを起こし直し、オレキシンニューロンのピッキング条件を検討する。また、予備的に得られたナノポアシークエンス解析データの解析を進める。
(理由)コロナウィルスによる学会関連の中止が相次ぎ、旅費等の支出が無かった。(使用計画)本年度の学会出張や打ち合わせ等の旅費に充てる。
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