研究課題/領域番号 |
19K06896
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
佐原 成彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部, グループリーダー(定常) (40261185)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | タウ蛋白質 / プリオン様伝播 / 細胞毒性 / タウオパチー |
研究実績の概要 |
脳老化に起因する神経変性疾患の多くは、特定タンパク質の機能低下あるいは毒性獲得などに誘発される可能性が指摘されている。申請者はこれまで一貫してタウ毒性伝播仮説の検証と毒性制御メカニズムの解明を目指し、生体イメージング技術を用いたタウ蛋白質毒性メカニズムの探索とタウオパチーの治療薬開発を進めてきた。しかし、生理的に微小管結合能を有するタウがどの様に自己凝集能を獲得し、病的なタウが特定脳領域より拡散・伝播するのか、その技メカニズムは明らかになっていない。本研究では、タウ毒性伝播メカニズムの解明にむけて、独自のタウ凝集伝播の細胞・動物モデルを構築し、タンパク質凝集過程、細胞死、凝集タンパク質伝播過程などについて生体イメージング技術を用いて検証し、毒性分子種の同定とタウ伝播を抑制しうる治療薬の開発を目指す。本年度は、新規ノックイン型タウ発現マウスモデルを作出し、若齢マウスにおけるタウ発現を確認した。一方で、タウオパチーの進行に伴うミクログリアの動態変化に着目して、既存のrTg4510マウスにおけるタウ病態の検出に先んじて、恒常性ミクログリアマーカーP2RY12の発現低下を明らかにした(Maeda et al. 2021)。また、タウオパチーにおけるDisease Associated Microgliaの存在を裏付けるデータも蓄積しており(Sobue et al. 2021)、生体における早期病態診断に資する神経炎症標的分子の探索を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共同研究者との共著論文を多数出版することができた。
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今後の研究の推進方策 |
新規ノックイン型タウ発現マウスモデルの開発を進め、タウ伝播モデルの確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:予想を上回る実験結果を得ることができ、本年度の消耗品購入量が減少したことと、出張・外勤キャンセルによる旅費未使用による余剰額。 使用計画:次年度の消耗品購入に充てる。
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