研究課題/領域番号 |
19K06899
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
今野 歩 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (40509048)
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研究分担者 |
渡邉 康春 富山県薬事総合研究開発センター, その他部局等, 研究員 (80646307)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | AAVベクター / 中和抗体 |
研究実績の概要 |
2019年度に計画していた2種類の免疫抑制剤に関して、AAV-PHP.Bの静脈投与後の中和抗体に産生する影響を検討した。 2回目のAAV-PHP.B静注の1週間前から毎日免疫抑制剤を腹腔内投与し、さらに静注後も1週間毎日免疫抑制剤の投与を実施した。その後、中和抗体産生の有無を調べるため、2度目のAAV-PHP.Bの静注を実施した。1回目に投与するAAVベクターをPHP.B/Gfap-mCherryとし、2度目に投与するAAVベクターをPHP.B/NSE-GFPとすることにより、それぞれのAAVから発現される蛍光タンパク質と細胞種を確実に同定できる様にした。この結果、1度目のAAV投与により得られるmCherryの発現はすべての個体において確認できたものの、2度目の投与により得られるはずのGFPは、免疫抑制剤投与・非投与にかかわらず、全く確認できなかった。 以上の結果から、今回調べた2種類の免疫抑制剤では、中和抗体の産生を抑えることができないことが判明した。今後はさらなる免疫抑制剤を検討するとともに、全く異なるアプローチも考慮に入れて検討していくことが必要である。 本研究計画とは別に、関連するAAVベクターを用いた研究を4報発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度に実施予定だった研究はおおむね実施したため、「おおむね順調に進展している」とした。しかしながら、概要の通り、全く効果がないことが分かったため、さらなる免疫抑制剤の検討や全く異なるアプローチからの検討が今後必要である。
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今後の研究の推進方策 |
今回検討した免疫抑制剤は、T細胞および自然免疫に対する抑制能を有する薬剤であった。今後はB細胞に対しての薬剤にも検討範囲を広げて研究を実施する。また、AAV-PHP.Bと中和抗体の交差性が低い血清型のAAVベクターがいくつか明らかになってきたため、これらAAVベクターを元にして、血液脳関門透過型AAVを作出するといった全く異なるアプローチも検討していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた消耗品に対しての支出が予定より少なく、次年度に繰り越した。次年度では、さらに多くの免疫抑制剤を検討するため、多くの予算が必要となる。
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