聴覚視床である内側膝状体は、腹側核、内側核と背側核を含むとされているが、各亜核の同定や機能は十分解明されていない。本研究では、極めて低いレベルでありながら、内側核に特異的に伝達物質輸送体が発現していることを発見し、それを利用して内側核に選択的に遺伝子を発現させ、ニューロンの可視化に成功した。更なる探索により、その細胞体の分布と同様な分布や相補的な分布を示す分子マーカーも同定し、内側核を分子的に初めて定義できた。一方、内側核ニューロンの軸索終末が、光イメージング法で同定した聴覚皮質のすべての領野に分布していることを明らかにした。内側核が皮質における聴覚並列処理に影響を与えると結論付けた。
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