| 研究課題/領域番号 |
19K06916
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| 研究機関 | 近畿大学 |
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研究代表者 |
遠山 正彌 近畿大学, 東洋医学研究所, 教授 (40028593)
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| 研究分担者 |
宮田 信吾 近畿大学, 東洋医学研究所, 教授 (70403194)
清水 尚子 近畿大学, 東洋医学研究所, 助教 (50572731)
石野 雄吾 近畿大学, 東洋医学研究所, 助教 (80625088)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | HPA axis / Glucocorticoid受容体 / 脳梁 / 視床下部 / microRNA / 抑肝散 |
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| 研究実績の概要 |
精神疾患の中でうつ病の発症にはストレス等の環境要因が大きく関わることが知られている。主要なストレス応答系である視床下部－下垂体－副腎軸 (HPA axis) の制御不全による精神疾患発症の分子機序については全く不明のままであったが、申請者らはストレス負荷マウスを用いて検討を行い、これまでにグルココルチコイド応答制御不全に関連する分子機序の一端を見出してきた。更に申請者らはnon-coding RNAの一つである microRNAがストレス応答に関与する可能性を見出した。そこで本研究計画では、HPA axis 調節不全によるうつ病等の発症にmicroRNAが関与する詳細な分子機序を解明することによる新規治療薬開発や予防措置への応用に向けた研究基盤の確立を目指した。具体的には作成した環境ストレス負荷マウスを用いて抑肝散などによるGlucocorticoid 受容体 mRNA 転写後制御因子としてのmicroRNAの機能解析を実施する。
本年度は、環境ストレス負荷マウス脳の視床下部および脳梁におけるGRタンパク発現量の有意な低下とmicroRNA発現量変化との関連性を検討した。脳内でGRの転写後調節を行うことが報告されているmiR-18, miR-124aについてreal time-PCRを実施し、比較検討したところ、視床下部におけるmiR-18の有意な発現増加を見出したもののmiR-124aについては発現変化は観察されず、脳梁では逆にmiR-124aの有意な発現増加を観察し、miR-18については発現変化は観察されないという、環境ストレス負荷によって脳領域における異なるmicroRNAの発現変動が生じていることを見出した。
さらに予備検討として抑肝散等の漢方薬の前投与により、環境ストレス負荷による血中コルチコステロン量の増加が抑制されることを見出した。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度までに取得した研究成果はほぼ計画通りである。
令和3年度には、予備実験を終えた抑肝散等の漢方薬の前投与による視床下部および脳梁領域におけるストレス応答とGR mRNA、GRタンパク量変化およびmiR-18, miR-124aの発現量変化、更には免疫組織化学的解析等、研究計画に沿って実験を実施できる状況である。
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| 今後の研究の推進方策 |
令和3年度は、これまでの研究成果を元に抑肝散等の漢方薬の前投与で視床下部および脳梁領域におけるストレス応答変化を抑制しうるのかについてmiR-18, miR-124aの発現量変化を検討するだけでなく、免疫組織化学的手法により、脳梁および視床下部における抑肝散の抗ストレス効果が観察される領域や神経核を特定するなど、抑肝散の抗ストレス効果出現に関わる分子機序について検討する。更には、他の漢方薬や抑肝散成分の投与による抗ストレス効果の検討も実施する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画において使用予定であるマウス手術時の体温保持装置一式について、令和2年度に購入を計画し、見積もり依頼から発注まで行ったが、コロナ禍でメーカーの生産体制が整っていないという理由で納期が遅れてしまい、令和2年度中の当方への納品が出来ないという事態が発生したため、次年度使用額が生じてしまった。既にメーカー側への生産体制や在庫の確認済みであることから、令和3年度の早々に再度見積もりから発注を行い、計画通り使用する予定である。
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