研究課題/領域番号 |
19K06922
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡崎 周平 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (60623072)
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研究分担者 |
猪原 匡史 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 病院, 部長 (00372590)
渡邊 光太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (00836877) [辞退]
北野 貴也 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (70772193)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 頭蓋内動脈狭窄 / 動脈硬化 / 脳血管障害 / RNF213 / 遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
本研究では、RNF213 p.R4810K変異と脳血管障害の関連を明らかにするために、下記のアプローチを行った。本年度の研究成果を以下に列挙する。 ① MRI脳血管壁イメージングとRNF213 p.R4810K変異との関連:保因者と非保因者で狭窄率および偏心率は2群間で差を認めなかったが、血管壁性状を示すSI比は非保因者と比べ有意に低く、RNF213多型保因者における頭蓋内動脈狭窄では、動脈硬化とは異なる血管壁の構造変化が起きていることを明らかにした(投稿準備中)。 ② 多施設共同前向き観察研究の体制構築:電子カルテと連動して情報収集が可能となる脳卒中全例登録システムを構築し、大阪府下9施設から2000例の急性期脳卒中患者の登録を行い、約100例の脳動脈狭窄例で遺伝子検査を行った。本登録システム構築の成果について報告した(薬理と治療, 2022, in press)。 ③ 国立循環器病研究センターおよび大阪大学医学部附属病院のレジストリより脳動脈狭窄を有する患者を収集し、RNF213 p.R4810K変異保因者と非保因者で動脈硬化危険因子の保有率を比較した。変異保因者では動脈硬化累積リスクが、非保因者と比較して低く、RNF213 p.R4810K変異保因者で認められる脳動脈狭窄は、動脈硬化とは異なる機序で発症している可能性を示した。本研究成果を国際誌に報告した(J Atheroscler Thromb. 2021. doi: 10.5551/jat.63379.)。 ④ 脳動脈狭窄症15年間の長期フォロー症例のデータを用いて解析を行い、RNF213 p.R4810K多型保因者では、有意に狭窄性病変が進行し、TIA/脳梗塞の発症リスクも高いことを示した(国際誌投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の蔓延に伴い、病棟業務などの申請者の臨床医としての業務負担が大幅に増えたことに加え、施設間の検体の授受等がスムーズに行えなくなったことで、研究の遅延が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
脳動脈狭窄症患者の長期フォロー研究の解析を進め、論文化を行う。病理学的解析のための検体の収集に引き続き取り組む。血管炎症マーカーとの関連について解析を進める。 また長期フォロー研究の結果により、スタチン等による介入が進行抑制に効果があることが示されたため、介入試験の準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の流行に伴い、申請者が臨床医として診療に従事するエフォートが大きく増え、本年度の研究実施が遅延した。次年度は、研究計画に従って長期フォロー症例の解析および炎症関連因子との関連を明らかにするとともに、これらの研究で明らかとなったスタチンなどによる治療介入の有効性を検討する。
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