研究課題
本研究では、RNF213 p.R4810K変異と脳血管障害の関連を明らかにするために、下記のアプローチを行った。本年度の研究成果を以下に列挙する。① MRI脳血管壁イメージングとRNF213 p.R4810K変異との関連:3D画像解析ソフトウェア(Aquarius iNtuition, Teraricon, Durham, NC)を導入し、多型保因者に特有の血管形態変化に関する解析を行った(投稿準備中)。本研究により、形態学的に変異保因者が脳血管障害を発症する機序の解明が期待される。② 多施設共同前向き観察研究の体制構築:電子カルテと連動して情報収集が可能となる脳卒中全例登録システムの構築を行い、臨床研究に利用できる環境を整備した。本システムを用いて、癌と脳卒中の関連や、院内発症脳梗塞に関する研究等の複数の臨床研究成果を報告した。また、本登録システム構築の成果について第48回日本脳卒中学会学術集会にて発表し、優秀ポスター賞を受賞した。③ 脳動脈狭窄症15年間の長期フォロー症例のデータを用いて解析を行い、RNF213 p.R4810K多型保因者では、有意に狭窄性病変が進行し、一部がもやもや病へと移行すること、保因者ではTIA/脳梗塞の発症リスクも高いことを示した。また本研究の成果により、スタチンの内服が保因者の狭窄進行に効果がある可能性が示された。本研究成果は10th Korea-Japan Joint Stroke ConferenceにてBest Presentation Awardを受賞し、Neurology Genetics誌に発表した(Neurol Genet 2022;8:e200029)。④ 上記の研究成果を受け、本多型が脳梗塞再発に与える影響およびスタチンの保護効果に関する臨床研究を企画している。
3: やや遅れている
COVID-19の蔓延に伴い、病棟業務などの申請者の臨床医としての業務負担が大幅に増えたことで、研究の遅延が生じた。
これまでの研究成果を受け、本多型が脳梗塞再発に与える影響およびスタチンの保護効果について、本邦で実施された介入試験のサブ解析を用いて解析を計画している。
COVID-19対応等により研究が遅延したため、一部の研究計画が翌年に繰り越しとなった。次年度は主にRNF213 p.R4810K多型が脳梗塞再発に与える影響およびスタチンの抑制効果について検討を予定している。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
Neurology Genetics
巻: 8 ページ: e200029~e200029
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Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
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薬理と治療
巻: 50 ページ: 760~763
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