研究課題/領域番号 |
19K06937
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
高橋 真有 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50581344)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小脳 / 随意運動制御 / サッケード / 室頂核 / 上丘 |
研究実績の概要 |
本研究は、小脳による随意性運動制御の神経機構を明らかにするため、視覚誘導性サッケードを訓練したサルで、我々がこれまで同定した小脳入出力経路に沿って電気生理学的方法とウィルスベクターを用いたDREADD法を組み合わせて、制御信号の小脳内の流れと役割を明らかにし、小脳の随意運動制御の動作原理を解明することを目的とする。 初年度は、2頭のサルに対して、チェアトレーニングを実施すると同時に、視覚誘導性サッケードを訓練するためのシステム(Rex Systemを導入)を構築して訓練を行っている。また、アイコイルを用いたサッケード計測ではなく、回旋運動を含めた眼球運動を記録解析するため、高速赤外線ビデオカメラ(500Hz sampling)を用いた計測法を新たに開発した。On-lineの解析は無理なので、Off-lineで回旋眼球運動を解析する必要があるため、大容量の画像を高速で記録保存するためのシステムを構築した。 小脳機能を考えるとき、小脳制御の対象となる運動系の入出力回路の理解が必要不可欠である。これまでの実験データの解析を進め、両側上丘から小脳虫部VII葉への入力路を同定したが、この部位は、AldolaseC(+)の領域と一致し、対側MAOから登上線維入力を受けていた。同定した神経回路の一部に関してまとめ、発表した(Takahashi and Shinoda, 2020, in press)。小脳内の信号の流れを決めるためには、それぞれの部位からの出力を同定することが必要であり、虫部VII葉のプルキニエ細胞は、室頂核後部に投射しており、同上のMAOの終止部と一致し、AldolaseC(+)の核内領域であった。室頂核前部は、AldolaseC(-)であった。この部からの橋・延髄及び中脳への投射標的を同定中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度実験セットアップ、解析システムの構築、動物の訓練を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
眼球運動の訓練を行うため、頭部固定装置を装着し、頭部固定した上での視覚誘導性サッケードの訓練を行う。訓練が終了したら、サッケード中の小脳内、および眼球運動関連部位からユニット記録を行い、信号の流れを解析する実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の後半の実験計画に使用予定の消耗品および機器類を購入せずにすんだため。次年度の前半の実験計画と合わせて消耗品および機器類を購入する予定である。
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