活性酸素種(reactive oxygen species; ROS)は、従来、生活習慣病や老化の原因因子として悪玉的側面が着目されてきた。一方、近年、ROSの産生酵素の同定や生体内各組織における発現分布など、ROSが生理活性物質であることを示唆する知見が集まりつつある。この様な背景から「ROSの脳における生理的役割は?」、「善玉としてのROSと悪玉としてのROSとの作用機序の違いは?」と言うROSの機能と作用に関する二つの根源的な問いが生じるが、脳におけるROSの記憶学習への関与や作用機序は殆ど不明である。本研究では、ROSの小脳依存的運動学習と神経回路網の可塑性への関与、神経活動依存的な産生、さらにはROSによる生体機能阻害の分子機構明らかにすることで、脳におけるROSの正・負の作用の統合的理解を目指す。本研究により「ROSが脳における生理活性物質である」と言う新規概念が提唱されるとともに、抗老化や生活習慣病の予防に向けた副作用が少ない薬物の開発を始めとする医療面への貢献も期待される。 本研究では、ROSの小脳依存的運動学習と神経回路網の可塑性への関与、神経活動依存的な産生、さらにはROSによる生体機能阻害の分子機構明らかにすることで、脳におけるROSの正・負の作用の統合的理解を目指す。本研究により「ROSが脳における生理活性物質である」と言う新規概念が提唱されるとともに、抗老化や生活習慣病の予防に向けた副作用が少ない薬物の開発を始めとする医療面への貢献も期待される。
|