研究代表者は、抗うつ薬によってマウス海馬神経細胞が未成熟様に変化する「脱成熟」現象を発見した。本研究では、生理的に生じる脱成熟の異常が、うつ病の病態に寄与する可能性を検討した。個別飼育したマウスに慢性ストレスを負荷すると、活動量の持続的な低下が見られた。運動をさせながら抗うつ薬を投与すると、ストレス負荷したマウスでは脱成熟が生じ、活動量が回復したが、対照群のマウスでは脱成熟は生じなかった。豊かな環境で飼育すると、脱成熟様の変化が誘導され、ストレスによって軽度の行動変化が生じた。以上より、脱成熟が起きにくい環境条件では、ストレスによる行動異常が起きやすいことが示唆された。
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