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2019 年度 実施状況報告書

新型糖脂質マンノシルオキシステアレートの機能解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K06976
研究機関九州大学

研究代表者

宮本 智文  九州大学, 薬学研究院, 准教授 (40182050)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードマラセチア / 糖脂質 / グリコシルオキシステアレート / Mincle / NFAT-GFP
研究実績の概要

真菌マラセチアより発見した新規Mincleリガンド#44-2の構造は、L-マンニトールの1,3,4位の3か所に10-O-β-マンノピラノシルオキシステアリン酸がエステル結合する全く新しいタイプの糖脂質であった。#44-2をアルカリメタノリシスして得られる、β-ジマンノシルオキシステアレート(al-44-2-2)にも44-2の1/100程度のMincleアゴニスト活性が確認されたことから、この構造を基に、13種のグリコシルオキシステアレート誘導体の合成を計画した。モノグリコシル体には、マンノース、グルコース、ガラクトースを利用し、各α-,β-体を調製した。ジグリコシル体には、市販のイソマルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、セロビオース、マルトビオースの他、al-44-2-2の立体異性体である4種のジマンノシル体をKonigs-Knorr法とCrich法を組合せ合成した。また、ヒドロキシ脂肪酸には、安価で入手できる12-ヒドロキシステアリン酸を用いた。合成したグリコシルステアレート体について、研究協力者の山崎教授(大阪大学微生物病研究所)の指導の下、ヒト型およびマウス型ミンクル受容体発現細胞株を用い、NFAT-GFPアッセイを行い、ミンクルリガンド活性を評価した。その結果、al-44-2-2(β,β-)の立体異性体である、α,α-ジマンノシルオキシステアレートに最も強いリガンド活性が確認された。また、モノグリコシルオキシステアレート体はβ-マンノシル体にのみ弱い活性が確認されたことから、Mincleリガンドとしてマンノースが必須であることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

新規Mincleリガンドの#44-2は、天然型糖脂質には珍しいβ-マンノシル結合を有する。通常、1,2-シス型のマンノースのβ-グリコシル化は2位の水酸基の立体反発により困難とされるが、本研究課題では、Crich等が開発した、4,6-O-benzylideneをTf2Oで活性化したグリコシル供与体を調製することで、収率44%でβ-マンノシル体の合成に成功した。本法とKonigs-Knorr法を組み合わせることにより、al-44-2-2の立体異性体(α,α-, α,β-, β,α-)の合成に成功した。13種のグリコシルオキシステアレート体のMincleリガンド活性評価では、当初、β-マンノシル体にのみ活性があると予想されたが、天然型のβ,β-体より、α,α-体により強い活性が確認されたことは想定外であった。また、モノマンノシル体に有為な活性は確認されなかったが、ジマンノシル体にリガンド活性が確認されたことから、今後、詳細な活性発現機構、受容体のリガンド認識部位の解析が必要とされる。

今後の研究の推進方策

2019年度の結果を踏まえ、2020年度はMincleリガンド活性の認められた、グリコシルオキシステアレート体をグリセロール及びマンニトールにエステル結合し、天然型Mincleリガンド#44-2のミミック体を合成し、NFAT-GFPアッセイによるMincleアゴニスト活性を評価する。また、現在、活性評価は研究協力者の山崎教授に依頼しているが、詳細な構造活性相関解析や合成中間体、副生成物の活性評価を独自に解析するため、NFAT-GFPアッセイを等研究室で実施できるよう準備を進める予定である。
また、グリコシル化の鍵反応であるCrich反応ではグリコシル供与体活性化で2回の-78℃での反応が必要であり、当初、ドライアイスを冷媒に使用していたが、設置設備のアルミブロック低温槽は安定に-78℃の反応環境を構築でき、本設備を利用することで、更にグリコシル化反応の収率向上を目指す。

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公開日: 2021-01-27  

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