研究実績の概要 |
2019年度の研究実績である、13種のグリコシルオキシステアレート誘導体のうち、Mincleリガンド活性が認められた、β,β-ジマンノシルオキシステアレート、α,α-ジマンノシルオキシステアレート、及びβ-モノマンノシルオキシステアレート誘導体をグリセロールにエステル化した天然型Mincleリガンド#44-2のミミック体3種を合成した。 これら3種の誘導体について、研究協力者の山崎教授(大阪大学微生物病研究所)の指導の下、ヒト型及びマウス型Mincle受容体発現細胞株を用い、NFAT-GFPアッセイを行いMincleリガンド活性を評価した。その結果、tri-(β-D-mannnosyl-stearyl)-glycereolとtri-(α,α-dimannosyl-stearyl)-glycerolに、ポジティブコントロールであるTDB(trehalose-6,6-dibehenate)より強力なMincleリガンド活性を見出した。また、TDBがマウス型のMincleに強いリガンド活性を示すが、今回合成した化合物はヒト型Mincleに対してより強いリガンド活性を示しすことが明らかとなった。また、コアのアルコールにグリセロールを利用した誘導体にも、強力なMincleリガンド活性が確認されたことは、本研究の目的である、マンノシルオキシステアレートの機能解析にとって、非常に重要な知見が得られたと確信した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の研究成果によりコアとなるアルコールが天然型のマンニトールではなく、グリセロールに置き換えても、TDBを怒涛するMincleリガンド活性が確認されたことから、Mincleリガンド活性にはオキシステアリルグリコシドのエステル結合数が重要であると推測された。最終年度は天然型の1,3,4-tri-(di-β,β-mannosyl-stearyl)mannitolの合成と、更に、エステル結合を増やしたhexa-(di-β,β-mannosyl-stearyl)mannitolを合成しMincleリガンド活性を評価する予定である。また、エステル結合数の増加により、Mincle受容体発現細胞株に対する細胞毒性が認められることから、他の細胞株に対する細胞毒性も検討し、マンノシルオキシステアレートの構造活性相関と機能解析を行う。
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