研究課題/領域番号 |
19K06979
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
伊藤 久央 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (70287457)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 有機合成化学 / 天然有機化合物 / 全合成 / 不斉合成 |
研究実績の概要 |
当プロジェクトでは,生理活性発現が期待される,特異な骨格を有する多官能基化された多環式テルペノイド(主としてyonarolideとcallilongisin B,さらにagallochaexcoerin D)の,効率的な不斉全合成経路の開発について検討を行なっている. Yonarolideの全合成研究に関しては,令和元年度に全合成の鍵となるCope転位反応による7員環構築のための基質の合成に成功していた.このものを用いて令和2年度にCope転位反応について種々検討を行なったが,望むCope転位反応は進行しなかった.基質の官能基を変換し,分子の安定性を向上させての反応の進行についても検討を行なったが,Cope転位反応による7員環構築には成功していない.次にCalliongisin Bの全合成について令和元年度に引き続き検討を行なった.(S)-perillyl alcoholを出発物質とし,立体選択的な炭素官能基の導入を経て得たフェノール誘導体に対し,立体選択的な酸化的脱芳香環化を駆使したところ,今まで困難であった立体選択的な分子内ラクトン化に成功した.このものを基に数工程を経て立体選択的に官能基を導入し,callilongisin Bの不斉全合成を達成した.また,類縁体であるcallilongisin Cの不斉全合成も併せて達成した.Callilongisin B不斉全合成経路の中間体を活用したagallochaexcoerin Dの全合成研究も推進し,確実に前進している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3つの海産天然有機化合物(yonarolide,callilongisin B,さらにagallochaexcoerin D)の全合成について検討を行っている.Yonarolide全合成の鍵反応としているCope転位反応による7員環構築がなかなか良好な結果を与えない.このものについては現在,Cope転位反応による炭素炭素結合形成位置の変更を試みる.Callilongisin BとCについては不斉全合成を達成し,現在論文作成中である.Agallochaexcoerin Dについても本研究課題期間での全合成達成を目指す.
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今後の研究の推進方策 |
Yonarolideの全合成については,Cope転位反応の基質であるジビニルシクロプロパンユニットを昨年度までと異なる位置に導入することにより,全合成達成を目指す.Agallochaexcoerin Dについても早急に2環性部位の構築を行い,最後に7員環ラクトン化を経て全合成達成を目指す.
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