研究実績の概要 |
当プロジェクトでは,生理活性発現が期待される,特異な骨格を有する多官能基化された多環式テルペノイド(主としてyonarolideとcallilongisin B,さらにagallochaexcoerin D)の,効率的な不斉全合成経路の開発について検討を行なっている. 2021年度は主にCallilongisin Bの不斉全合成に関して力を入れ検討を行った.Callilongisin Bの不斉全合成に関しては,2020年度中に達成することができたが,工程が長く収率も満足できない工程があるなどの問題点があった.そこで重要合成中間体であるフェノール誘導体に対する立体選択的脱芳香環化反応による分子内ラクトン形成の際にアミド体を用いることにより工程の短縮に成功し,またそれぞれの工程の収率向上にも成功し,研究成果をOrganic Letter誌に掲載することができた.また,類縁体であるCallilongisin Cの不斉全合成についても条件を精査して論文投稿し,Tetrahedron誌に掲載することができた.YonarolideについてはCope転位反応の進行に苦労しているが,最近新たなCope転位反応の条件を見出し,本条件を用いてさらにCope転位反応による七員環構築と全合成達成についての検討を続けていく.Agallochaexcoerin Dについても全合成の検討を行ったが,立体選択的な炭素鎖の導入に苦労しており,引き続き検討を続けていく.
|