研究課題/領域番号 |
19K06982
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
横江 弘雅 星薬科大学, 薬学部, 助教 (10613622)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 全合成 / ジアステレオ選択的 / スピロ環化 |
研究実績の概要 |
2019年度の研究計画に従って、以下の検討を行った。 ①ジアリールメタン誘導体の合成:様々なアリールボロン酸とp-ニトロヨードベンゼンから鈴木ー宮浦クロスカップリング反応を行った。しかしながら、o-位に置換基を有するアリールボロン酸を用いた場合には、望むジアリールメタン誘導体ほとんど得られなかった。そこで、別途新たに考案した合成ルートにより所望の化合物の合成検討を行ったところ、収率よく反応成績体を得ることができた。 ②置換芳香環化合物を原料とした環化前駆体の合成:次いで、①で得られた化合物のニトロ基を還元し、アニリン誘導体へと導いた後に、プロピオルアミドとのアミド化、アルキル化を経て、環化前駆体を合成することができた。ここまでの合成工程については、最終的に、グラムスケールにて、再現良く目的化合物を合成することに成功している。 ③ドミノ環化反応の検討:続いて、②で合成した化合物を用いて、ドミノ環化反応の検討を行った。まず、これまでで最も良い結果を与えていた条件を用いて、環化反応を行ったが、目的化合物は全く得られなかった。そこで、試薬や溶媒、温度等の条件検討を進めたところ、所望の閉環体が得られる条件を見出すことができた。しかしながら、立体選択性については、満足する結果ではなく、改善の余地を残すことになった。これらは今後の検討課題であると考えている。 ④8員環形成反応の検討:このようにして合成した③の化合物の、インドリン3位を酸化した後に、側鎖の酸素官能基をハロゲンへと置換した。本化合物を分子内環化反応の条件に付すことで、8員環化合物を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の計画において、難所であると予想された8員環形であったが、種々検討の結果環化成績体を得ることには成功した。しかしながら、満足する収率で得られるよう検討する余地が残されていること、スケールアップ等に耐えうる操作方法を確立すること、といった理由から、本反応の不斉化への展開、検討が未実施である。このような理由から、今年度の計画はやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究計画にのっとり合成研究をすすめ、並行して、前述の前年度未実施であった項目を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のように、研究実施内容に遅れがあったことから、未実施分にかかる費用を支出しなかったため、当初使用する予定であった金額を下回った。これら未実施の検討課題は次年度にて行う予定であり、これに次年度使用額分の研究費を充てることを考えている。
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