複素環化合物は,医薬品や生理活性天然物などの母核として広く存在している,重要な化合物群の 1 つである.そのため,複素環化合物の合成法および反応性に関しては,古くから今日に至るまで,非常に多くの研究が成されてきた.しかしながら既存の手法には,毒性の高い試薬が必要であったり,反応条件が過酷であったり,実用的に用いることが困難なものも多い.申請者が今回開発した複素環(イソインドリノン)合成では,触媒量の遷移金属と塩基のみ必要であり,同様の手法でこれまで等量以上の添加が必須であった再酸化剤が不要な環境調和型プロセスとして位置付けることができ,今後の複素環合成研究へのインパクトも大きいといえる.
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