研究課題/領域番号 |
19K06986
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
杉浦 正晴 崇城大学, 薬学部, 教授 (00376592)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ホスホリル化反応 / リン酸化反応 / 金属触媒 / 有機触媒 / リン酸エステル |
研究実績の概要 |
リン酸エステルは、生体内物質や医薬分子にも含まれる重要な化合物である。しかし、複数のヒドロキシ基をもつ反応基質の特定のヒドロキシ基のみをリン酸化してリン酸エステルを合成することは、有機合成化学においては難しい課題であり、汎用的手法は確立されていない。最近筆者は、ピリジルエステルの金属触媒による活性化に基づき、ジオール類のモノアシル化反応が高い選択性で進行することを見出した。この成果を踏まえて本研究では、アシル化反応からホスホリル化(リン酸化)反応へと展開し、「リン酸化剤の触媒的活性化に基づくリン酸エステル合成法の開発」を3年計画で目指す。1年目となる2019年度は以下の成果を得た。 (1)本研究の契機となった研究の成果を雑誌論文にまとめることができた。まず、2-ピリジルエステルをアシル化剤に、酢酸亜鉛を触媒に用いることで、1,2-ジオールや1,3-ジオール、カテコールを選択的にモノアシル化できることを見出した。また、触媒として塩化銅/ピバル酸銀/不斉配位子を用いることで、メソ酒石酸ジエステルの不斉非対称化が高いエナンチオ選択性で進行することを見出し、カフタル酸のメソアナログの合成中間体を不斉合成できることなどを明らかにした。 (2)上述の研究を踏まえて、ピリジルホスファートを活性化することのできる金属塩の探索を行ったところ、様々な第4周期遷移金属のカルボン酸塩が触媒活性を示すことを見出した。さらに、ピリジルホスファートに代わりピロホスファートの活性化に展開したところ、より良好な収率でジオール類のモノホスホリル化反応が進行することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ホスホリル化剤と金属触媒の様々な組み合わせを探索した結果、アシル化反応とは異なる金属塩において触媒活性を見出し、今後に繋がる知見を得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
基質適用範囲を拡大すると共に、不斉ホスホリル化へと展開する。また、ホウ素触媒による方法を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
日本薬学会第140年会の旅費として確保していたが、Web要旨の公開のみで現地での開催が中止となったので余剰金を生じた。2020年度の物品費として用いる計画である。
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