研究課題/領域番号 |
19K06993
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
原 倫太朗 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト講師 (70709766)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アンチセンス核酸 / 人工カチオン性分子 / 核酸医薬 / メジャーグルーブ |
研究実績の概要 |
本研究は、核酸医薬の一つであるアンチセンス核酸医薬(ASO)の高機能化を目的とし、人工カチオン性分子(ACM)をASOと共有結合的に連結した、ACM-ASOを開発するものである。ここで用いるACMは申請者が開発した分子であり、ASOと相補RNA鎖から成るASO/RNA二本鎖に特異的に結合する性質を有するカチオン性分子のことを指す。 初年度は、ACMとして、申請者らが開発した人工カチオン性ペプチドであるDabオリゴマー用いて研究を進めた。すなわちDabオリゴマーを共有結合により連結させた、Dab-ASOを合成することを目的とした。まず、モデル基質として天然型DNA(化学修飾のないDNA)を用いてDab-DNAの合成を試み、種々の条件検討の結果Dab-DNAを単離することができた。これを踏まえ、次に多数の化学修飾を含む16量体のASOを用い、同様の条件でDab-ASOの合成を試みた。しかしながら、Dab-ASOの単離には至らなかった。生成したDab-ASOが反応や精製過程で凝集を起こすなどで不溶化していることが一因と考えている。先に述べたDab-DNAの合成においても、条件によっては同様に目的化合物が回収できない場合があることがあったが、反応条件や後処理方法の検討により、Dab-DNAを単離することに成功していた。これらの知見をもとに、ACM-ASOの反応効率と精製(回収)効率を向上させるための実験系の最適化を進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
モデル基質でのDab8-DNA合成は問題なく行えたものの、化学修飾されたASOを用いた場合にDab8-ASOを単離出来ていない。当初計画では初年度にACM-ASOの合成法は確立できると見込んでいたため、このように自己評価する。
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今後の研究の推進方策 |
目的物の回収率を改善するための、ACM-ASOのコンジュゲーション反応条件や、その後の精製条件の最適化を現在行っている。また、ACMとASOの相性(相互作用の強さ)と、ACM-ASOの凝集性は関係があると考えられるため、現在用いているものよりもASO結合性の低いACMを用いてACM-ASOの合成を試みる予定である。
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