二核ホウ素錯体について,ふたつのボロン酸部位を有することから,その極性が高くなって有機溶媒への溶解性が減少し,また,ふたつのボロン酸部位から脱水反応が容易に進行して複数の化合物を与えることから,合成には更なる合成研究が必要であることが示唆された.また,水もしくはアルコール溶媒中で,カルボン酸を活性化した中間体の反応性について広く研究を行った結果,僅かな電子的および立体的要因により,加溶媒分解の様子が変わることが分かった.ボロン酸触媒においても,活性中間体を経ることが予想され,加水分解や加アルコール分解を抑制するために触媒分子における電子的および立体的要因の考察が必須であるという知見が得られた.
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