研究課題/領域番号 |
19K06996
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井川 貴詞 大阪大学, 薬学研究科, 准教授 (20453061)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ビアリール / キラル / 銅触媒 / ビフェニレン / カップリング反応 / 結合開裂 / 軸不斉 / 不斉合成 |
研究実績の概要 |
軸不斉を有するビアリール類は、医薬品等の生物活性分子、不斉配位子等に広く利用される重要な化合物群である。しかし、その合成は未だラセミ体の光学分割が主であり、一般的に立体選択的合成は困難とされる。申請者は、従来法と全く異なる革新的な二つの軸不斉ビアリール合成法を開発する。一つ目は、二つの芳香環を連結する炭素-窒素結合を立体選択的に構築し、軸不斉ビアリールを合成する方法。もう一つは、ビフェニレン誘導体の炭素-炭素結合の一つを位置選択的に活性化し、官能基を立体選択的に導入することで軸不斉ビアリール類を構築する方法である。これら手法は、ビアリール類の効率合成及び多様性の拡大の両面において重要である。初年度は、初期検討としてキラルなビアリール誘導体を、銅触媒を用いて合成する検討を行った。その結果、目的とする化合物を首尾よく合成することに成功した。また、種々のビフェニレンの合成法を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は、科学研究費補助金[スタートアップ(1回)、若手研究B(計2回)、基盤研究C(2回)]を継続的に拝受し、多様な反応制御法を開発している。本年度は、同補助金(基盤研究C)の初年度として、キラルなビアリール誘導体の合成法を見出した。また、最近、これまで合成困難だったビフェニレン誘導体を合成することに成功しており、次年度以降に問題なく研究が進められることを確信している。
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今後の研究の推進方策 |
令和元年度はおおむね順調に実施計画が進行したので、令和2年度はキラルなビアリール誘導体の不斉合成法の開発を開始する。また、炭素-炭素結合を切断しつつ不斉を制御する手法については、多様なビフェニレン類を合成したのちに行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度は、基盤となる基礎的な研究を予定通り遂行したが、僅かに予定よりも遅れたため繰越金が生じた。令和2年度は、昨年度からの繰越金と合わせてほぼ計画通りに使用する予定である。その概算を下記の使用計画に記載する。 物品費: 当初予定額+65,156円、旅費:200,000円、人件費・謝金:0円、その他:0円
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