研究課題
最終年度(2021年度)では、前年度見出したアミドを基質とするアルドール反応を中心に検討を実施しました。本反応では、独自に開発したキラルなホスフィンオキシド触媒を用いることで、最高で92%eeの選択性を獲得することができました。無保護アミドを求核剤とするアルドール反応は、これまでには例がなく、本結果は、本研究課題における有意義な研究成果です。現在、本研究成果について論文を執筆中であり、2022年度中に報告予定です。この他にカルボン酸を求核剤とする反応にイサチン誘導体およびα,β-不飽和カルボニル誘導体をそれぞれ適用し、対応する目的物が高収率、かつ高立体選択的に得られることを見出しました。以上の研究成果はいずれもカルボン酸およびその誘導体を求核剤とする前例のない触媒的不斉反応であり、本研究課題での特筆すべき研究成果です。さらに、前年度見出した、トリクロロシランの活性化について検討を進め、光を照射した際水素ガスが効率的に発生することを見出しました。現在この水素発生現象を利用した研究を開始しており、本研究課題を端緒とした新たな研究展開をしています。低温冷蔵庫(冷凍庫)が故障し試薬保管が難しくなったため、急遽2月に冷凍庫を購入しました。なお、本年度は3報の査読付き論文の報告と6件(口頭発表3件、ポスター発表3件)の学会発表を具体的な研究成果としてそれぞれ公表し、前年度から継続して研究成果をあげることができました。以上のことから、本年度は研究活動を大きく停滞させることなく、順調に研究計画を遂行することができたと考えています。また、3年間の研究活動期間において、いくつかの新規反応を見出し、自身の基盤研究が発展できたものと考えております。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)
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