カルボン酸は、最も重要な官能基の1つであるが、カルボン酸の直截的な立体選択的化学変換法は他のカルボニル化合物と比較して著しく少ない。その一方、カルボン酸の創薬研究における有用性および重要性を考慮した場合、その直截的な分子変換が有効な方法論となることは明らかである。本研究課題では、ホスフィンオキシドと塩化ケイ素試薬によるカルボン酸の活性化を基軸として無保護カルボン酸の触媒的不斉反応の開発に成功し、有機合成化学におけるカルボン酸の直截分子変換の基盤を開拓することができた。これらの研究成果は、医薬品開発における創薬モダリティを拡張し、創薬研究における新たなツールを提供するものである。
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