研究実績の概要 |
23残基のアミノ酸からなるマイオスタチン親和性ペプチドとオン/オフスイッチ機能を有する光酸素化分子のコンジュゲートを用いた、マイオスタチンの光酸素化に関する研究を実施した。まず、ペプチド部位と光酸素化分子部位をそれぞれ合成し、両者を銅触媒ヒュースゲン環化付加反応によって連結することで、目的のコンジュゲートを獲得した。次に、その光酸素化能について評価した。本コンジュゲートはマイオスタチンを効率的に光酸素化し、さらにその光酸素化はマイオスタチンに対して選択的に起こる結果を得た。また、HEK293 細胞を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイ系において、酸素化されたマイオスタチンは、その活性を顕著に失っていることを確認した。以上の結果は、本コンジュゲートによる光酸素化によって、マイオスタチンとその受容体タンパク質との結合を効率的に阻害したことを示し、これは本手法によるタンパク質-タンパク質間相互作用 (protein-protein interaction: PPI) 阻害の初めての成果として重要であると考える。本成果を、H. Okamoto et. al. “Inactivation of myostatin by photo-oxygenation using catalyst-functionalized peptides”, Chem. Commun., 2019, 55, 9108-9111. にて報告した。また本成果は、国内学会 3 件、国際学会 4 件で発表した。
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