前年度までに我々は、Gpnmb 欠損マウス由来の1型ミクログリア (MG) は、野生型1型MGに比べて、125I標識o-Aβの分解活性が有意に低いことを見出した。このことより、1型MGに発現するGPNMBは、o-Aβのクリアランスに寄与する分子であることが明らかとなった。しかしながら、この解析に用いた125I標識o-Aβ1-42には、oligomerだけでなく、未重合のmonomer Aβ1-42も混入しているため、厳密にoligomerのみを分画したサンプルを調製し、degradation assayを行う必要がある。 そこで本年度は、混入する未重合のmonomer Aβ1-42を取り除くために、25 kDa cut offの透析膜で透析した後、degradation assayを行った。コントロールとして、これまで使用してきた1 kDa cut offの透析膜で透析したサンプルをアッセイに用いた。また、flow cytometryでの予備検討により、我々が開発した9F5抗体は、ラット1型MGの細胞表面に発現するtruncated GPNMBを認識することが明らかとなっているため、125I標識o-Aβ1-42と1型MGの相互作用に、9F5抗体が介入できるかを調べた。その結果、truncated GPNMBを認識する9F5抗体は、ラット1型MGによる高分子量 (>25 kDa) オリゴマー状Aβ1-42の分解活性を競合的に阻害することが明らかとなった。この結果は、ラット1型MGに発現するtruncated GPNMBはオリゴマー状Aβ1-42の新規スカベンジャー受容体として機能することを示唆する。今後は、この新規仮説を検証するために、4℃ 90 minでのbinding assayが必要とされる。また、本研究で用いた125I標識o-Aβ1-42には、少量のmonomer Aβ1-42とfibrillar Aβ1-42が含まれていることが、ゲル濾過クロマトグラフィーやオートラジオグラフィーの実験より明らかとなっている。そのため、今後は、125I標識Aβ1-42をゲル濾過クロマトグラフィーで分画し、よりピュアな高分子量o-Aβ1-42を精製したあと、degradation assayや binding assayを行う必要がある。
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