In vivo光イメージングは生きた動物個体で生体分子の挙動をリアルタイムに解析できる有用な分析ツールである。蛍光法による検出が行われているが、励起光による影響で感度があまり高くないことが課題であった。一方、化学発光法は励起光を必要としない光検出法のためバックグラウンドシグナルのない高感度な測定が可能であり、近年では高輝度な化学発光基質の開発が進みin vivoイメージングへの応用例も報告され始めた。しかし、生体分子をイメージングするための分子設計法が確立していないことから、分子イメージング試薬(プローブ)として汎用されるに至っていない。そこで、本研究では、細胞内の様々な標的分子を検出できる化学発光プローブの分子設計法を確立し、確立した設計法を適用して病態にかかわる分子を標的にした化学発光プローブを開発することを目的とする。 活性酸素種(ROS)は酸素が還元されて生成する反応性の高い分子種の総称のことで、生体内において発生することが知られている。生体分子を酸化し失活させる作用をもつが、一方で様々な生理機能に関わっていることが明らかとなっている。ROSは種類によって反応性や寿命が異なるため、発生した場所に対して限られた範囲で作用をもつ。したがって、種類や作用する場所に着目してROSを検出し、その生理作用を検討する必要がある。しかし、細胞膜の外側で発生した特定のROSを選択的に検出するプローブの報告はなく、細胞外のROSが作用する場所に関する知見もほとんどない。そこで、細胞膜の外側で発生した特定のROSとその作用する場所についての検討を行うための化学発光プローブの設計、開発を行った。
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