研究課題
基盤研究(C)
BRD4と阻害剤複合体の中性子結晶構造解析に成功し、水素原子を含む全原子の位置を決定した。これにより、阻害剤結合部位の水分子クラスターの水素結合ネットワークの全貌を明らかにした。また、等温滴定カロリメトリーによってイソリキリチゲニンとBRD4の結合はエンタルピー駆動であり、選択的阻害に有利な特徴をもつことを明らかにした。イソリキリチゲニンはBRD4結合の際に水分子クラスターを再編成することによって好ましいエンタルピー変化を得ていることが示唆された。
構造生物学
BRD4を阻害する化合物はさまざまながんに対する治療薬になると期待されている。しかし、ブロモドメインをもつタンパク質は多くあるため、副作用の観点から特異的にBRD4に結合し、その機能を阻害する薬剤の開発が望まれている。本研究の成果は、選択的結合に適した官能基と結合様式を同定したことであり、選択的BRD4阻害剤の開発を進めるうえで重要な知見を得ることができた。