研究実績の概要 |
現在大部分が未解明である脂質による膜タンパク質制御原理の一端の解明を目指し、会合モチーフとして知られるGXXXGの周辺配列とコレステロールの組み合わせや、ヘリックスブレーカーとして知られるプロリンが誘起しうるヘリックス折れ曲がり構造が膜厚によりどのように調節されるか解明しすことを目標として研究を行った。 GXXXG配列の周囲に位置するアミノ酸(5,6,16,17残基) をG, A, Lに変異させた一連の膜貫通ヘリックスに関して、複数の配列の合成と測定を行った。蛍光色素Cy3BおよびCy5で蛍光標識したペプチドを合成し、ジスルフィド結合を介して平行架橋体を合成した。シングルペア蛍光測定による自己会合力の測定および、蛍光輝点の解析を行った結果、多くの配列ではPOPC 膜、POPC/コレステロール膜のいずれでも強い会合が起こらなくなった。したがって、GXXXGの周辺配列は少し変化するだけでも会合力に大きく影響することが明らかになった。一方で、グリシンを1残基追加導入したある配列に関しては、コレステーロール含有膜での会合が観測された。元のGXXXG配列ではコレステロール含有膜では会合が見られなかったことから、何らかの特異的な構造を形成している可能性がある。 また、プロリン含有ペプチドについては、2種類の13C=18O安定標識アミノ酸含有ペプチドを合成・精製完了した。また4種類については合成を行った。今後精製を行う。
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