研究課題
タンパク質リン酸化の部位特異的かつ網羅的な定量法の開発を行った。フィンランドTurku大学との共同研究により開発したリン酸化シミュレーション用ソフトウェアSimPhosphoを応用し、データ非依存的測定法であるSWATH測定によるリン酸化ペプチドの定量解析法を検討した。TripleTOF 6600を用い、合成リン酸化ペプチドのSWATH測定を行った。また、合成リン酸化ペプチドを酵素的に脱リン酸化し、データ依存的測定法であるIDA測定を行った。データベース検索ソフトウェアX!TandemによりIDAデータから脱リン酸化ペプチドを同定し、それに対しSimPhosphoを用いてリン酸化シミュレーションを行った。それらシミュレートされたデータのライブラリを定量解析ソフトウェアSkyline上で構築し、リン酸化ペプチドのSWATHデータを解析した。その結果、シミュレーション後にデータフォーマットを一部変更することにより、Skylineの特定バージョンで解析が可能であることが確認された。他のソフトウェアと比べ多くのリン酸化ペプチドを検出できたが、リン酸化部位の誤同定が多数含まれていた。そこで、Skylineにおける種々の解析条件を検討したところ、SWATHデータからある程度高精度にリン酸化部位を検出することができた。今後さらに解析条件を検討をしていくために、リン酸化ペプチドのモデルデータを複数取得するための試料調製をすすめた。
3: やや遅れている
新型コロナウイルスに対する感染拡大対策のため、大学キャンパス内での研究が中止となった。そのため、進行中であった試料調製、測定、解析等を途中で止めなければならなかった。
SimPhosphoとSkylineの互換性をさらに検討しつつ、SWATHデータからより高精度にリン酸化部位を検出できるよう、Skylineの解析条件を最適化する。さらに、その有効性を検証するため、複数のモデルデータを取得する。また、Skyline以外のSWATHデータ解析ソフトウェアとSimPhosphoの互換性も検討していく。
(理由)新型コロナウイルスに対する感染拡大対策のため、大学キャンパス内での研究が中止になり、参加予定であった学会も開催中止となった。主にこれらの理由により、次年度使用額が生じた。(使用計画)次年度使用額は、研究の遅れを取り戻すため、主に消耗品の購入に使用する予定である。また、昨年度に学会発表を予定していた研究成果および新たな成果を積極的に発表するため、国内・海外旅費にも使用する予定である。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 295 ページ: 4194-4211
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名城大学総合研究所紀要
巻: - ページ: -
PLoS ONE
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