研究課題/領域番号 |
19K07031
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
定金 豊 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 教授 (60293304)
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研究分担者 |
森本 正大 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助教 (90824772)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | SELEX法 / カルベン / 光反応ユニット / 方法論の開発 |
研究実績の概要 |
核酸アプタマーは、抗体に次ぐ新しい医薬分子として期待されています。従来の抗体は主にタンパク質や糖鎖を標的としますが、核酸アプタマーは低分子化合物や金属イオンに対しても高い特異性と結合力を示します。これら特異的な性質を利用して、核酸アプタマーは加齢黄斑変性症の治療薬としても上市されていました。本研究では、独自の光化学的新技術を、有用な核酸アプタマーの選別法に組み込み、抗体以上の機能をもつ医薬分子の開拓につなぐ新技術を開発することを目的としています。 これまで、光化学的新規選別法の要となる光反応性DNAの作成法に成功し、有能な光反応基であるフェニルジアジリンを組み込む方法論を確立しました。この技術を用いて、リゾチームに対する光反応性の核酸アプタマーの合成に成功し、電気泳動法でリゾチームと不可逆的に結合することを確認しました。次に、トロンビン酵素に対する光反応性核酸アプタマーの製作と、光化学的パニング法を用いてトロンビン提示ファージの選別を実施し、一定の成果を得ています。これらのノウハウは、光化学的SELEX法の開発に役立つものとなります。光化学的SELEX法の確立により、革新的なスピードで目的の機能をもつ核酸アプタマーを選別できるようになります。新型コロナウイルスなどの感染症では時間との勝負となっています。それらターゲット分子を標的とした迅速な抗体類似分子の作製にも役立つ技術となると期待されます。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの感染流行のため、長期間の大学施設の閉鎖、学生などの実験従事者の不在などの研究体制の脆弱化、および遠隔講義等の新しい手法への対応などでの研究代表者および分担者の研究エフォートの大幅な低下により、当該テーマの研究活動が大幅に制限されたことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
複数の候補から目的の核酸アプタマーを絞り込むためのSELEX法をさらに優れたものにするための研究を続けて行っています。様々なタンパク質を提示したファージの集団から、目的の提示ファージを選び出すための光化学的パニング法の完成度をさらに高め、これら実験のノウハウを生かして、研究目的を達成していきます。ネガティブな提示ファージを洗浄する条件の最適化、核酸アプタマーへの光反応基の導入位置の最適化など、まだまだ解決する課題はありますが、これらの研究を完遂していきます。新型ウイルス感染症への応用も可能な革新的なスピードで目的の機能をもつ核酸アプタマーを選別できる方法論である光化学的SELEX法の確立を急ぎます。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染流行のため、長期間の大学施設の閉鎖、学生などの実験従事者の不在などの研究体制の脆弱化、および遠隔講義等の新しい手法への対応などでの研究代表者および分担者の研究エフォートの大幅な低下により、当該テーマの研究活動が大幅に制限されたことが理由となる。2021年は次年度使用金を有効に使用して外注なとでの研究の効率化を進め、2000年度の遅れを取り戻すことに注力する。
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