研究課題/領域番号 |
19K07034
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
古林 呂之 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (00399156)
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研究分担者 |
田中 晶子 神戸薬科大学, 薬学部, 助教 (30824320)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 鼻腔内投与 / 頸部リンパ節 / ペプチド / WT1 / Oxytocin / Cyclosporine A |
研究実績の概要 |
2020年度は、水溶性モデルペプチドのoxytocinを高濃度水溶液として、また、難水溶性モデルペプチドのcyclosporine Aを0.005%のポリソルベートを加えて溶液として、マウス鼻腔内に投与した後の頸部リンパ節への移行性を、腹腔内投与を対照として評価した結果、頸部リンパ節移行の優位性の指標となるDTI(drug targeting index)及び頸部リンパ節総移行量に対する鼻粘膜ルートの寄与率を示すDTP(direct transport percentage)はそれぞれ7.1及び86.0%であった。また、cyclosporine AのDTI及びDTPは56.9及び98.2%となり、いずれのペプチドにおいても鼻粘膜から頸部リンパ節へ優位に直接送達されることを明らかにした。また、剤形検討としてcyclosporine Aを乳糖との物理混合物として粉末投与した結果、DTI及びDTPは1.3及び20.1%となり、溶液投与と比較して頸部リンパ節送達性は低い値となった。難水溶性ペプチドでは製剤添加物を利用し、溶解状態で投与することが望ましいことが示唆された。 さらに、がんペプチドワクチンWT1を溶液投与した結果、oxytocinと同程度のDTI(8.1)及びDTP(87.7%)を示したことから、頸部リンパ節への直接送達が可能であり、鼻腔内投与によるがん免疫の獲得に向けた可能性が示された。 Oxytocinの粉末投与は検討中であり、この結果を踏まえてWT1への粉末状製剤の適用を判断する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染拡大の影響により、公務への対応が増えたこと、また、研究の一端を担っている学生の研究活動への参加が一時停止されたこと等が主な原因である。
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今後の研究の推進方策 |
本報告書を作成している現在、大学所在県に緊急事態宣言が発出されたため、研究活動が更に遅延する懸念が生じているが、他の研究に優先して本課題に時間を割く予定にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の消耗品の納期が遅れたため、年度内に購入手続きができなかった。 2021年度に購入し、その支払いに充てる。
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