研究課題/領域番号 |
19K07036
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
中原 広道 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (00513235)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ナノ機能材料 / 物理薬剤学 / 生物物理化学 / フッ素化合物 / ナノ医薬 |
研究実績の概要 |
肺サーファクタントを利用したドラッグデリバリー(DDS)の基盤研究の一環として、2種類のテトラジン誘導体と生体膜膜成分の相互作用を精査しました。テトラジンは水中でテトラシクロオクテン等と非常に速く反応(逆電子要請型 Diels-Alder 反応)することから、生体イメージングや分析試薬としても利用が期待されています。特に本反応は近年、腫瘍イメージングを指向したアミンセンシングやタンパク質修飾へ応用されています。我々の研究室ではこれまでに水に不溶且つ還元型のテトラジン誘導体(rTz-C18、鎖長18の飽和炭化水素鎖1つを有している)と生体膜脂質との相互作用を評価してきた。本研究では、ジェミニ型rTz(C18-rTz-C18、鎖長18の飽和炭化水素鎖2つを有している)を用い、気/液界面における脂質との相互作用を単分子膜手法により精査しました。また同時に蛍光顕微鏡、ブリュースター角顕微鏡(BAM)、原子間力顕微鏡(AFM)観察を行い、形態学的な解析も行いました。「二成分の脂質/C18-rTz-C18系のデータより、2次元の相図を作製したところ良好な混和挙動が確認できました。C18-rTz-C18は、rTz-C18と同様に細胞膜の内膜に多く存在するDPPEと特異的に相互作用し、崩壊圧低下作用を引き起こすことが分かりました。形態学的解析により、人工膜の液体膨張(LE)/LC共存領域の画像に2種のLC相が共存することを突き止めました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
結果の方は国際的な学会で発表し、著名な学術論文にも掲載されたので現在のところ順調に進んでいると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
4月より緊急事態宣言が出されているので、研究やデータの収集は行いにくくなった。そのため、これまでのデータを再評価し、結果を論文化することを計画している。今年度、後半には予定通り、研究やデータの収集を遂行できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年9月に予定していた国際会議への参加が、同時期に開催された国内会議の出席のため、不可能となりました。また、2,3月に予定していた研究が新型コロナウイルスの蔓延のため実施不可能となりました。これらのため、当該助成金が生じてしまいました。今年度は、研究実施計画を夏以降に重点的にシフトさせ、助成金をしっかりと使用していきます。
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