研究課題/領域番号 |
19K07037
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
岡崎 祥子 崇城大学, 薬学部, 講師 (40435152)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ビタミンK / ニトロキシルラジカル / 抗腫瘍効果 |
研究実績の概要 |
ビタミンK類は生体に必要な栄養素の一つである一方で、スーパーオキシドラジカルの生成により酸化ストレスを引き起こし、細胞毒性を示すことが知られている。スーパーオキシドラジカルは過酸化水素への還元を経て、さらに反応性の非常に高いヒドロキシラジカルへと変わる。そこで本研究では、ビタミンK誘導体とMRI造影効果を有する二トロキシルプローブとを結合させることで、ニトロキシルラジカルのスーパーオキシドジスムターゼ様活性によりスーパーオキシドラジカルを速やかに過酸化水素に変換し、低濃度で高い活性を持つ新規抗がん剤として利用することを目指している。 本年度は、ビタミンK類のうち、毒性の高いビタミンK3(メナジオン)と六員環のニトロキシルプローブであるTEMPOLとの併用による細胞毒性についてマウスの繊維肉腫細胞(RIF-1)を用いて検討した。その結果、単独ではほとんど細胞毒性を示さない濃度のTEMPOLがメナジオンとの同時処理により、メナジオンの細胞毒性を顕著に増強することを示すことができた。メナジオン処理は細胞内でヒドロキシルラジカル生成を引き起こすことを電子スピン共鳴法で確認し、さらに蛍光光度法により、メナジオンとTEMPOLの同時処理は単独処理に比べて、顕著に細胞内の活性酸素濃度を増強させることを示すことができた。これらの結果は本研究で作成しようとしているビタミンK類とニトロキシルプローブを結合させた化合物が、有効な抗がん剤となる可能性を強く示唆しており、本研究を続けていく重要な根拠となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナ感染症の蔓延が収束せず、大学内の業務量が増え、当初の予定よりも、研究に従事する時間を大幅に削減せざるを得なかったため。
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今後の研究の推進方策 |
ニトロキシルプローブにはいくつかの種類があるため、他のプローブでも同様の検討を行い、より効果的なものを探索する。また、細胞毒性を示す機構が想定どおり、活性酸素による酸化ストレス増強であるか否かについて、分子生物学的手法を用いて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に引き続き、新型コロナ感染症の影響により、研究に割ける時間が著しく減少しており、研究が思う様に進んでおらず、学会もリモート開催で旅費などが発生しなかったために次年度使用額が生じた。 本年度は昨年度よりは、研究に割ける時間を増やせる見込みであり、主に細胞培養などの消耗品購入に使用予定である。
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