研究課題/領域番号 |
19K07038
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研究機関 | 科学警察研究所 |
研究代表者 |
岩田 祐子 科学警察研究所, 法科学第三部, 室長 (20356190)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | methamphetamine / pseudoephedrine / 安定同位体比 / δ値 / 反応液 |
研究実績の概要 |
覚醒剤methamphetamine(MA)密造事案に関連して、押収された反応液中の生成物と原料の関連性について言及し、MA密造の証拠とすることを目指して、安定同位体比の値(δ値)を指標として覚醒剤合成における原料と反応液中の生成物の関連性の評価を行うことを目的としている。具体的には、実際に覚醒剤MAの合成を行い、「反応液中の生成物のδ値」、「反応液中に残存している原料のδ値」、「反応液中の副生成物のδ値」、「反応液中の生成物の量」、「反応液中の原料の残存量」、「反応液中の副生成物の量」及び「反応前の原料のδ値」を分析し、これらの相関を明らかにする。また、この目的を達成するため、反応混合 液中の各化合物のδ値の分析法と定量分析法を確立する。 次年度は、MA HClおよびその原料であるpseudoephedrine HClを、同位体分別の無い方法で、遊離塩基の形にする試料調製法を確立し、試料をガスクロマトグラフ(GC)-IRMSで分析する条件について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍による出勤制限により、実験が行えなかっただけでなく、その他の業務に時間を圧迫されため。
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今後の研究の推進方策 |
N-benzoyl-Nmethyl-1-(1,4-cyclohexadien-1-yl)propanamine(MA還元体)を文献に従って合成し、δ値を測定する。δ値決定済みのpseudoephedrine、MA還元体及びMAの純品を用いて、GC-IRMSによる分析の検討を行う。Birch還元の反応停止後の液を模した、模擬反応液(LiOH/アンモニア水-エタノール混液)に、δ値決定済みのpseudoephedrine、MA還元体及びMAを添加し、試料調製法の検討及びGC-IRMSによる分析の検討を行う。さらに、pseudoephedrine、MA還元体及びMAについて、GC-FIDを用いて定量分析の検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、旅費を伴う学会参加ができなかったことと、実験が計画通り進まず、所望品購入額が少なかったことによる。 オンラインでの学会参加費と、試薬、装置の消耗品の購入に使用する。
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