本研究では、生体内で各発現組織中のリン脂質を代謝することで様々な生理機能を持つ酵素「分泌性ホスホリパーゼA2(sPLA2)」に着目し、sPLA2-IIA欠損マウスが例外的に発現部位(腸管)ではなく遠隔組織(皮膚)で癌やアレルギーなどの表現型を示すメカニズムの解明を試みた。その結果、sPLA2-IIAは腸管内のリン脂質源である腸内細菌に直接作用することで、腸内細菌の組成と細菌固有の脂質代謝物を変動させることを見出した。本成果は、sPLA2による腸内細菌叢の制御を介した新たな疾患制御機構を解明したことで、様々な免疫関連疾患の新規治療・予防戦略への応用が期待される。
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