研究課題/領域番号 |
19K07043
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
上田 浩 岐阜大学, 工学部, 教授 (50253779)
|
研究分担者 |
赤尾 幸博 岐阜大学, 大学院連合創薬医療情報研究科, 特任教授 (00222505)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | エクソソーム / GPCR / CD81 |
研究実績の概要 |
がん悪性化に関与すると考えられているエクソソームの産生機構を解明することは、現在の細胞生物学分野において重要なトピックである。申請者らは、エクソソーム産生には、エンドサイトーシスにより形成される多胞性エンドソーム(MVE)の関与が重要であり、三量体G蛋白質共役型受容体(GPCR)を含む各種レセプターからのシグナルが深く関与していることに着目した。1年目に同定された分子群により放出促進されるエクソソームの内容物に違いがあるかを、Nanoルシフェラーゼで標識された各種マーカー分子(CD81やCD63などのタンパク質)発現ベクターを用い、放出促進させる分子に対するshRNAを導入した細胞で解析した。その結果、促進分子群間で違いがあることがわかった。また、促進分子がもつエクソソーム産生促進に関わると考えられた構造に関して、その構造と同様の構造を持つ別のいくつかの候補分子についてのエクソソーム産生について検討した結果、この中の一つの分子が、これまで同定した促進分子群とは異なり、エクソソーム産生抑制効果を示した。また、この分子に対するshRNAを作成し検討したところ、このエクソソーム産生抑制効果の減弱が見られた。これらの結果から、今回標的としているGPCR刺激によるエクソソーム産生機構には、これまでみてきた産生促進分子群と今回新たに見出した抑制分子によって、調節されている可能性が示唆された。このことから今後、今回見出した抑制分子がエクソソーム産生機構のどの部分に作用して抑制するかについて検討する必要があると考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要にも書いたように、同定したいくつかのエクソソーム産生促進分子群に関して、それらの分子それぞれが、エクソソーム含有されるどのようなマーカー分子と関わっているかということが解析され、今後、さらにその詳細を検討する段階に至った。さらに、研究を進める過程で、エクソソーム産生抑制に関わる分子の存在を示唆する結果を得られ、今後、促進分子群と抑制分子により、どのようにエクソソーム産生が制御されているのかについて新たな知見を得られる可能性を持つことができた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、エクソソーム産生促進関する分子群については、この分子群が細胞内の他の分子とどのように相互作用し、機能しているのかについて検討するため、MS解析等を行い候補分子の同定とそれらとの相互作用が、どのようにエクソソーム産生促進に作用しているのかを解析していく。さらに、今回、エクソソーム産生抑制に作用する分子の存在がわかったことことから、この抑制分子がどのようにエクソソーム産生を抑制するのかについて、さらにその詳細を検討する予定である。それにあたっては、まず促進分子群と同様、MS解析等を行い抑制分子と相互作用するエクソソーム産生機構に関与していると考えらる分子の同定を行う。さらにこの分子に対するshRNAを用い、細胞レベルでのエクソソーム産生の解析を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度当初、コロナ禍のため、研究施設等への立ち入り規制や行動規制のため、当初の研究計画よりやや遅れてしまったことにより、その予定使用額を使用できなかった。次年度については、研究計画の遅れを取り戻すべく、今年度計画していた分をできるだけ速やかに遂行する予定である。
|