研究課題
がん悪性化に関与すると考えられているエクソソームの産生機構を解明することは、現在の細胞生物学分野において重要なトピックである。申請者らは、エクソソーム産生には、エンドサイトーシスにより形成される多胞性エンドソーム(MVE)の関与が重要であり、三量体G蛋白質共役型受容体(GPCR)を含む各種レセプター からのシグナルが深く関与していることに着目した。1年目に同定された分子群により放出促進されるエクソソームの内容物に違いがあるかを、Nanoルシフェ ラーゼで標識された各種マーカー分子(CD81やCD63などのタンパク質)発現ベクターを用い、放出促進させる分子に対するshRNAを導入した細胞で解析した。その結果、促進分子群間で違いがあることがわかった。また、促進分子がもつエクソソーム産生促進に関わると考えられた構造に関して、その構造と同様の構造を 持つ別のいくつかの候補分子についてのエクソソーム産生について検討した結果、この中の一つの分子が、これまで同定した促進分子群とは異なり、エクソソーム産生抑制効果を示した。また、この分子に対するshRNAを作成し検討したところ、このエクソソーム産生抑制効果の減弱が見られた。昨年度までに得られたこのエクソソーム産生抑制分子(MIEP)に関して、今年度は、この分子と相互作用し、エクソソーム産生抑制に関与する分子をさらに同定するために、MIEPによる免疫沈降後、MS解析を行い、さらにいくつかの関連分子を同定し、これらの分子群の中に、エクソソーム産生抑制に関与するいくつかの分子が存在することが明になった。今後は、これらの関連分子とMIEPとの機能について検討する必要があると考えている。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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