研究課題
CNKSR2(Connector Enhancer of Kinase Suppressor of Ras-2)は、神経細胞のシナプスに局在し、さまざまな情報伝達分子と結合するスキャホールド分子である。近年の遺伝学的解析から、知的障害やてんかんを伴うX連鎖知的障害の原因遺伝子であることがわかってきた。昨年度までにCNKSR2は、低分子量Gタンパク質ARF1およびARF6の活性化因子であるCYTH2と協調して、新生仔期から生後発達期のマウス海馬歯状回神経細胞の発達を制御していることを明らかにした。今年度は、CNKSR2-CYTH2による海馬歯状回神経細胞の発達制御機構を明らかにするため、ARF1の機能解析をおこなった。ARF1の発現を抑制するノックダウンベクターを2種類作製し、生後0日マウスの脳室に注入したのちに電気パルスをかけて、海馬歯状回神経細胞前駆細胞に遺伝子を導入した。21日間飼育を継続したのちに脳標本を作製し、遺伝子導入された神経細胞の配置を形態学的に解析した。その結果、コントロールの細胞では、大部分の神経細胞が歯状回顆粒細胞層に局在していたのに対して、ARF1の発現が抑制された神経細胞は、その多くが顆粒細胞層と歯状回門の境界領域に留まっていた。さらに詳細な形態解析をおこなったところ、樹状突起スパイン密度の減少やスパイン頭部の縮小といった歯状回神経細胞の発達異常が観察された。これらのことから、CNKSR2-CYTH2-ARF1経路は、新生仔期から生後発達期のマウス海馬歯状回神経細胞の発達を制御していると考えられた。
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