研究課題/領域番号 |
19K07063
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山折 大 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 准教授 (40360218)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 降圧薬 / CYP2J2 / CYP1A2 / CYP2C9 / CYP2D6 / CYP3A4 / 阻害作用 |
研究実績の概要 |
本研究は、CYP2J2活性を強力かつ選択的に阻害する降圧薬を見出し、このような薬剤が抗腫瘍効果を示すか否か、また分子標的薬の有効性を高めるか否かを細胞レベルで明らかにすることを目的とする。 初年度は申請者らが見出したCYP2J2活性を強力に阻害する降圧薬が他のCYP分子種の活性を阻害するか否かをヒト肝ミクロゾームを用いて検討した。その結果、CYP1A2活性はアムロジピン、シルニジピンおよびニソルジピンによって阻害され、IC50値は2.58~3.41μMであった。CYP2C9活性は検討した全ての降圧薬(アムロジピン、アゼルニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、エホニジピン、フェロジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、テルミサルタン)によって阻害され、IC50値は0.283~7.40μMであった。CYP2D6活性はアゼルニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、マニジピン、ニカルジピンによって阻害され、1.13~5.45μMであった。CYP3A4活性はアゼルニジピン、バルニジピン、ベニジピン、シルニジピン、エホニジピン、フェロジピン、マニジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニソルジピンおよびニトレンジピンによって阻害され、IC50値は0.123~10.4μMであった。検討した降圧薬のうちCYP2J2活性を最も強力に阻害するアゼルニジピン(IC50値0.137μM)およびマニジピン(IC50値0.116μM)について阻害効果を比較したところ、アゼルニジピンはCYP2J2に対して10倍高い選択性を示し、マニジピンはCYP2J2に対して約3倍高い選択性を示した。 これらのことから、アゼルニジピンはCYP2J2活性を強力かつ選択的に阻害する降圧薬であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、申請者らが見出したCYP2J2活性を強力に阻害する降圧薬が他のCYP分子種の活性を阻害するか否かを検討し、CYP1A2、CYP2C9、CYP2D6、CYP3A4の各分子種の活性に対する阻害作用を明らかにすることができた。また、これらの阻害効果をCYP2J2に対する阻害効果と比較することにより、アゼルニジピンのCYP2J2阻害に対する選択性が高いことを見出すことができ、次年度のヒト腫瘍細胞の解析へと繋げることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、CYP2J2阻害作用を示した降圧薬がヒト腫瘍細胞のCYP2J2の発現、エポキシエイコサトリエン酸の産生量、増殖能に対してどのような影響を及ぼすのかについて解析する。ヒト腫瘍株化細胞として、肝癌由来HepG2細胞およびSK-HEP-1細胞、消化管間質腫瘍由来GIST-T1細胞、腎癌由来ACHN細胞およびCaki-1細胞を用いて、解析を行う予定である。
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