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2020 年度 実施状況報告書

グルコース輸送体の小胞型輸送システムと生理・病態作用の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K07064
研究機関岡山大学

研究代表者

日浅 未来  岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 講師 (30587720)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードグルコーストランスポーター / 線維芽細胞 / 血管平滑筋細胞
研究実績の概要

グルコーストランスポーター(GLUT)は細胞膜に局在し、細胞内にグルコースなどの糖類を取り込んでエネルギー供給などの生体恒常性の維持に関与している。GLUTsには13種のサブタイプが存在し、クラスⅠ、Ⅱ、Ⅲに分類される。クラスⅠ、Ⅱに属するGLUTsについてはその生理的意義が解明されているが、クラスⅢに属するGLUTsについては細胞内局在や基質、生理作用など不明な点が多い。さらに、内膜系に局在するとされるクラスⅢのGLUTsではあるが、実際にどのオルガネラに局在し、機能しているのか不明である。本研究ではクラスⅢに属するトランスポーターの生理作用や病態への関与を解明するために、GLUTの発現や輸送機能について解析した。今年度はGLUT12について解析した。GLUT12タンパクを大腸菌に大量発現させ、精製し、人工膜小胞に再構成して輸送活性を測定したところ、クラスⅠと同様の輸送特性や阻害活性を示した。また、デヒドロアスコルビン酸を基質とする可能性を見出した。GLUT12の各組織における発現を解析したところ、これまで報告されていた腎臓や小腸に加え脳下垂体前葉や甲状腺といった内分泌細胞への局在を見出した。GLUT12がデヒドロアスコルビン酸を基質とする可能性があることから、GLUT12が分泌小胞内へ輸送するデヒドロアスコルビン酸が、アスコルビン酸へと還元され、ペプチドホルモン類のC末端アミド化へ関与することが示唆される。また、GLUT12は線維芽細胞や血管平滑筋細胞に発現し、細胞小器官に局在することを見いだした。今後はこれら細胞におけるGLUTsの機能を解析する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

クラスⅢのGLUTsそれぞれについて遺伝子やタンパク質の組織発現解析が順調にすすんでいる。前述したようにGLUT12の機能と局在について報告することができた。詳しい生理作用については初代培養細胞等の準備もでき、GLUTsの生理作用解析がはじめられる準備が出来ている。

今後の研究の推進方策

今後は引き続き、GLUTsの発現組織やオルガネラについて、各種オルガネラマーカーとの二重染色や細胞分画法もあわせて行い、GLUTsの局在するオルガネラを同定する。線維芽細胞や血管平滑筋細胞については初代培養法にて調整し、それぞれ発現や局在を解析する。GLUTsのノックダウンや阻害剤を用いてこれら細胞での機能と生理作用を解析する。また、GLUTsのタンパク精製と輸送解析を行っていく。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍のため、思うように実験がすすまなかったところが大きい。また、本年度は高価な試薬が必要な初代培養を用いた実験をあまり行わなかったためと考えられる。次年度はGLUTsの抗体や各種オルガネラマーカーの抗体購入、初代培養費用や動物購入・維持費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Functional characterization and tissue localization of the facilitative glucose transporter GLUT122020

    • 著者名/発表者名
      Matsuo Shunsuke、Hiasa Miki、Omote Hiroshi
    • 雑誌名

      The Journal of Biochemistry

      巻: 168 ページ: 611~620

    • DOI

      10.1093/jb/mvaa090

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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